問題解決のための環境整備が進む
アプリノミクスは進化を続けている。サンフランシスコ近郊に住む筆者は、スマートフォンとアプリによって、街が抱えている問題点を解決する手法を非常に多く目にするようになった。
例えば、Uberは、タクシーがつかまらない、安心して利用できないという問題点を、アプリによって解決している。またSquareは、スマートフォンのイヤホンジャックに差し込む小さなカードリーダーで、個人商店や露店などで、有利な手数料でのクレジットカード決済を実現し、ローカルビジネスに貢献している。
あるいはYelpはレストランをはじめとする街のガイドとして機能し、長くベイエリアに住む人に話を聞くと、Yelpのおかげでレストランの質が全体的に上がったという見方をする人もいる。OpenTableはスマートフォンに対応することで、「今、この周りで何か食べたい」という人と、レストランの空席をマッチングすることに成功した。 肌身離さず持っていて、通信ができ、様々なセンサーを備えるスマートフォンを活用した問題解決が街に対して適用されているが、今度は「自分」の問題解決を行う環境が整ってきた。
Appleは2014年9月にリリースするとみられる最新のiOS 8で、「HomeKit」と「HealthKit」に対応する。これは、iPhoneに対応するスマートホーム用のハードウェアやアプリを開発できるようにする開発キットだ。またHealthKitは、自分のエクササイズのデータや日々計測する健康に関する情報を安全に保管し、アプリで活用したり、医療機関とやりとりをすることができるようになる。
いずれも、自宅、あるいは自分というよりプライベートな物事、情報を扱うことができるようにするためのもので、iPhoneがカギとして重要な役割を果たすシーンを広げていこうとしている。
しかし注意しなければならない点は、都市の問題も個人の問題も、アメリカの生活者を基準にしているという点だ。HomeKitやHealthKitのパートナーはほとんどアメリカで利用できるサービスやブランドばかり。日本では日本なりの解決方法を考えなければ、おそらく日本での生活は変わらないのではないだろうか。