発表会に先立ち、ブラザー販売 代表取締役社長の片山俊介氏は、「2011年よりプリンタ市場へ本格的に力を注ぎ始め、プリンタ市場における第三の選択肢として、確固たる地位を獲得すべく邁進している」と述べた。第一と第二の選択肢を明確に公言してはいないものの、エプソンとキヤノンであることは疑いない。

また、「インクジェットプリンタ『PRIVIO』の高いコストパフォーマンスや充実したアプリケーションといった強みはそのままに、写真画質の向上にチャレンジした」とのこと。ユーザーがプリンタに求める機能と性能を向上させ、「第三の選択肢」から「三つ巴」へとステージを進めるべく、新PRIVIOはプリンタ市場で十分な競争力を持つと自信をのぞかせた。

ブラザー販売 代表取締役社長の片山俊介氏

2011年より本格的に参入して以来、ブラザーならではの個性を活かした製品を投入してきた

ユーザーの声に耳を傾けて開発に取り組んできた結果、2013年12月には10%のシェアを獲得。着実に歩を進めている

そして2014年、従来の良さを活かしつつ、新たに「写真画質の向上」に挑んだ

コストパフォーマンス、印刷物のクオリティともに兼ね備えたブラザーの4色テクノロジー

上述の通り、2014年モデル「PRIVIO」で注力されたのは、写真画質の向上だ。従来のインクを見直して新たな組成の「技ありインク」を開発し、「NEO」シリーズに搭載。色鮮やかな写真を表現する染料インク(シアン・マゼンダ・イエロー)、文書の出力において力を発揮する顔料インク(ブラック)の4色によって、黒は深く黒く、暗部の色再現性を強化することでコントラストを高め、従来機種に比べ色の再現領域を約13%拡大することに成功。写真印刷におけるメリハリ感の向上に寄与しているという。

さらに、「空は青く」「肌は自然な色に」「髪は黒くクッキリ」といった、人間の記憶色や期待色の表現において、最適化を図った。ブラザーの家庭向けプリンタ/複合機は染料ブラックインクを持っていないため、染料CMYを混ぜ合わせて「黒」を表現する。純粋な染料ブラックインクと比べると、染料CMY混合の黒はグレーっぽさがあり、いわゆる黒の締まりとコントラスト(メリハリ感)に欠ける傾向があった。新PRIVIO「NEO」シリーズでは、技ありインクと色設計のチューニングによって、この弱点を改善している。

写真画質を向上しながら、インクの使用量は抑えられており、低ランニングコストを維持。従来製品で好評を博していたコストパフォーマンスの良さも健在だという。

シアン、マゼンダ、イエローの3色を掛け合わせて発色させる黒を、より深みのある黒にした「技ありインク」

「技ありインク」によって色の再現領域が13%向上

微妙な違いではあるが、暗部の階調表現力が向上しているのが見て取れる

記憶色の表現も最適化され写真画質向上に寄与している