審査員からのメッセージ
表彰の後、審査委員の竹田津氏、米氏、審査委員長の立木氏から、選手たちにメッセージが贈られた。
竹田津氏は、「(例年にない)雨の中で、どういう写真を撮ってくるか楽しみだった」と切り出し、とくに印象に残ったチームとして埼玉芸術高校をあげ、「"私は高校生です"という写真を真正面から出してきてタジタジとした」と健闘をたたえた。同校を含め、8校が初出場という大会でもあった。
米氏は、「LINEなどをふだん使うことが多いと思うけど、大会で3日間、人の目を見てお願いしたりしましたよね。それが本当のコミュニケーションの基本。大事にしてほしい」と語りかけ、「最後は笑顔でね」と、泣いている選手たちを慰めた。
立木氏は、「(写真甲子園は)カメラマンの養成所じゃない。写真が上手、下手では評価が決まらない大会。その後(大会後、卒業後)のことがより重要で、撮った人、触れ合った人との関係性を大切にしてほしい。それは、写真の上手、下手を超えたものになる」と熱く語った。
個人的には、閉会式の締めに大会サポーターが撮影・編集した「思い出のスライド」がスクリーンに流されたのには参った。優勝校の記者会見直前というタイミングで筆者の涙腺が決壊し、ホントに困るので、ぜひとも来年以降も上映を続けていただきたい。
写真甲子園で得たものは?
これだけ濃密に写真漬けの日々を送った選手たちは、きっとすばらしい体験をしたことだろう。静岡県立伊東高校の遠藤覚監督は、「最終日、審査員から出された宿題に対して、"やってやろう"と奮起して、力のある写真が何枚も出てきたのでうれしかった。3人とも3年生で受験生、もうこれで終わりってこともあって、みんな雨の中で最後まで粘って撮った。もうすごい成長!」と選手をたたえた。
優勝した愛知県立津島東高校の盛岡剛洋監督は、「とくに大会2日目、"巣立っていった"と感じた。本音を言うと寂しい気持ちもあるが、それが理想」と笑顔で答えた。同じく松井遥奈選手は「被写体と向き合うことで時間を忘れて、大会であることも忘れるほどカメラづくしの3日間だった。ここで経験したことを学校に持ち帰りたい」と語った。
本稿の最後は、写真愛にあふれた立木氏の言葉で締めとしたい。
「勝ったもの以上に敗者が何かを手に入れたかもしれない。まだ二十歳前、今後も写真を続けてほしいし、好きでいてほしい」
それでは、また来年、幸運に恵まれたら。