AGAの正しい知識で、髪の毛とうまく付き合う
Q―髪の毛って、1日にどれくらい抜けるのですか?
A―平均して50~80本、多い方で100本抜けています。AGA(男性型脱毛症)は100%抜け毛が原因ではありません。抜けて髪がなくなるという病気ではない。抜け毛の量が診断基準になるのは円形脱毛症、産後脱毛などです。
Q―そもそもAGAとはなんでしょうか?
A―男性型脱毛症(Androgentic Alopecia)のこと。 思春期以降、急増する男性ホルモンの変化の影響により、前頭部から頭頂部にかけて髪が細く薄くなる症状です。AGAは遺伝などの要因で男性ホルモンの変化が毛根に働きかけ、正常な髪の生え変わりリズム(ヘアサイクル)を営めなくなるのが原因。ヘアサイクルとは、毛髪を生成する毛乳頭細胞が最も盛んに活動して、太く長く毛髪が成長している状態の「成長期」(2~6年間程度)と、毛乳頭細胞が毛根の深い部分に退縮して毛髪の伸長活動が低下する「退行期」(2週間程度)、そして毛乳頭細胞が活動を止め成長を終えた毛髪が脱落の準備に入る「休止期」(3~4ヶ月程度)という3つの期を繰り返し過ごす頭髪の生え変わりサイクルのこと。このヘアサイクルが乱れ成長期が短縮し薄毛の状態を作る、これがAGAです。
Q―AGAか否かの判断がつかないのですが、サインなどはあるのでしょうか?
A―生え際のM字の部分やつむじが薄くなるのは、ほぼAGAの可能性が高いです。横と後ろについては加齢の変化で薄くなる部位ですから、横と後ろが残ってそれ以外が薄くなる場合は(いわゆる波平さんのヘアスタイル)、AGAの可能性が高いと思います。頭髪全体が薄くなる場合は他の原因が考えられ、円形脱毛の重傷、また若い女性に見られるトリコチロマニア(抜毛症:ストレスで自分の髪の毛を抜いてしまう)、あとは皮膚疾患など他の病気の影響による脱毛も考えられます。
Q―薄毛への日々の対策として、有効なものがありましたら教えてください。
A―髪の毛は寝ている間に作られるので、生活習慣で一番気をつけたいのが、睡眠。22時から2時の間に身体の中から成長ホルモンが出て、肌、爪、髪の毛を成長させます。私の臨床上の経験ですが、寝てない人は治療を行った場合でも効果が出にくいことがあります。またタンパク質をたくさん浪費するような急激なダイエットも、髪の毛にはよくありません。やはり一日3食の食事の中でも、たんぱく質やミネラルをバランスよく摂ることが大切です。
Q―紫外線と毛髪の関連性は?
A―紫外線は肌、毛髪に対して影響があります。強い紫外線に当たるとよくありません。毛髪は皮膚からできていますので、毛髪も長期的に強い紫外線に当たると焼けてしまいます。日常的には問題ないものの、長時間の日焼けはさけていただきたいですね。
Q―脂っぽい人ほど薄毛が多い気がします。
A―関係ありません。AGAはあくまで髪にとっての悪玉男性ホルモンによるものです。20~30代の男性なら年齢とともに子供の頃より脂っぽくなるもの。その年齢と、AGAが発症する年齢がなんとなく一致しているために、誤解を招きやすい原因になっていると思われます。
プロから教わる正しいシャンプー方法とは
Q―遺伝が強いと聞きますが、抑止方法はないのでしょうか?
A―実は薄くなる人もならない人も血液中の男性ホルモンは代わりません。ただ遺伝的に“受容体”というホルモンの受け皿をたくさん持っている人と、持ってない人がいます。100の受け皿を持っている人は100の髪の悪玉男性ホルモンが効果(髪の毛が抜ける)を発揮、10の受け皿しか持っていない人はたとえ1,000の髪の悪玉男性ホルモンが飛んできても10しか効果を発揮しないので、これが遺伝による薄毛のメカニズムなんです。その悪玉男性ホルモンを抑制する薬・フィナステリドが2005年に認可されています。
Q―正しい髪の洗い方がありましたら教えてください。
A―1日生活すると、ホコリやゴミが髪の毛に付着しています。お風呂に入る前にまずは目の粗いブラシでその汚れを落とす。そして大量のお湯ですすぎます。その後シャンプーを適量(500円玉大)取ってよく泡立てる。その際は爪を立てずに指の腹でやさしくマッサージをするように洗う。最後に1~2分かけてキチンとすすぐ。ちなみに朝と夜なら、1日の汚れを落とすという意味で夜シャンがオススメです。
いかがだったでしょうか? 最近、抜け毛や薄毛が気になる……そう思ったら一人で悩むのはナンセンス。やはりAGA治療・薄毛治療の専門家へ相談することをオススメします。もちろんその前に、日ごろの食生活の見直しやヘアケアを忘れずに!