NVIDIA、プロフェッショナル向けGPU「NVIDIA Quadro」の新モデルに関する説明会を開催

既報の通りNVIDIAは13日、プロフェッショナル向けGPU「NVIDIA Quadro」の新モデルを発表した。これに合わせて21日に都内で記者説明会を開催し、米NVIDIA社のシニアディレクター、プロダクト・マーケティング プロフェッショナル・ソリューション・ビジネス担当のサンディープ・グプテ(Snadeep Gupte)氏が、新モデルの特徴や採用事例などを紹介した。

今回展示されたQuadro新製品。フラッグシップ製品のQuadro K6000は継続販売されるため、今回は展示されていなかった

グラフィックスプロフェッショナルが抱える共通の課題を解消する新シリーズ

米NVIDIA社のシニアディレクター、プロダクト・マーケティング プロフェッショナル・ソリューション・ビジネス担当のサンディープ・グプテ(Snadeep Gupte)氏

Quadroブランドは、OpenGLやCUDAを利用するグラフィックスプロフェッショナル向けの製品。グプテ氏は「Quadroは製品リフレッシュサイクルが1.5年~2年と比較的長めなので、今回の製品変更タイミングで説明会を開いた」と意義を説明したのち、グラフィックプロフェッショナル業界が抱える課題とそれに対するチャレンジに付いて説明してくれた。

Quadroは自動車デザインや製造業、航空業界、ハリウッド、GIS、医療画像処理といった多種多様な業界で導入されており、新世代のQuadroもこれらの業界のユーザーと対話しながら、現在の課題と次世代製品の対応を考えているという。グプテ氏は「対話の中で、個々の業界だけにとどまらない共通の課題とトレンドが浮かび上がってきた」と明かす。

その課題の一つが「データの複雑化、大規模化」だ。例えば自動車デザインの現場では、室内や屋外に実際に自動車を置いた状態での色合いや光の反射も含めたモデリング結果を見て確認したいというニーズがある。また、ハリウッドの映画作成現場において、以前ならば2K動画であったものが、今や4Kが台頭し、さらに6K/8Kへの挑戦も始まっている。このような画像に対応するためには高い演算能力やメモリを必要となる。

次世代Quadroの開発に際して、多くの顧客ユーザーに対してヒアリングを行ったという

そこから得られた5つの課題にチャレンジしたのが今回のQuadroシリーズになっている

Quadro単体ではより大規模なデータに対応するためメモリや演算性能を伸ばし、クラウドワークフローはリモートレンダリング、他部署とのコラボレーションに関してはNVIDIA GRIDを使う

新しく発表された製品はQuadro K5200/Quadro K4200/Quadro K2200/Quadro K620/Quadro K420の5モデル。発売は9月からを予定しており、主要メーカーワークステーションに搭載されるほか、菱洋エレクトロとエルザジャパンからビデオカード製品が発売される。また、従来のフラッグシップ製品Quadro K6000は2013年7月に発表した製品で、製品サイクル的や性能面を考慮してそのまま残る形となっている。

新しいQuadroは上から二桁目が"2"となっているが、フラッグシップのK6000は変更なしということだ。これはまだ発売されて一年しか経過していないためだ

今回のリニューアルでは、増大するデータ増に応えるべく、GPUコア数の増強、メモリ帯域幅の増強に加えてメモリ容量も前モデル比で2倍に向上した。また、全製品が4画面出力に対応するほか、K4200もマルチディスプレイ技術のQuadro Syncに対応し、デジタルサイネージの対応を強化している。

製品名にKが付いているのはKeplerアーキテクチャを使用している事を意味しているが、実はQuadro K2200とQuadro K620はより新しいMaxwellアーキテクチャを採用している。ただしQuadro K2200はミッドレンジ、Quadro K620はエントリ製品群であり、最上位製品がKeplerアーキテクチャを使用しているため、シンプルにすべてKで始まるモデル名にしているという。主要な仕様は以下のチャートにまとめられている。

新しいファミリー構成のチャート。上位3製品はサイネージや放送業界向けのSDIとSYNCを備えるほか、全製品4ディスプレイ対応。またメモリサイズも前世代から二倍となりメモリ帯域も高速になっている