Appleは9月に新型iPhoneをリリースするとみられるが、それとともに、OSもiOS 8へバージョンアップが行われそうだ。新バージョンのOSはiPhone 4SやiPad 2など過去のデバイスも対象で、多くのiOSデバイスユーザーが新OSを体感することが可能だ。本連載でこれまで、バージョンアップによって実現する新機能やこれまでの機能の改善について紹介してきたが、今回は、HomeKitとHealthKitという2つのSDKによって何が起きるか、という点について考えていこう。
iPhoneの可能性を広げてきた開発キットの化
iOS発展の歴史は、OSそのものの機能追加はもちろんだが、目を向けるべきは開発キット(SDK)だ。iOSで動作するアプリで何を実現できるか? という開発者のイマジネーションをかき立て、スマートフォンの使い方やイノベーションを起こす原動力ともなっている存在だ。
WWDCのビデオを見ると、こうした開発者向けの新しいAPIが発表されるときに熱狂的な声援が贈られるが、声を上げる開発者たちの可能性が広がることが、彼らには分かるからだ。
iOS 8では、ウィジェットやキーボードショートカット、アプリ間連携、キーボード拡張などのAPIが追加され、アプリそのものの使い方を新たなものに変えてくれそうだ。またゲームなどで美しい2D・3Dグラフィックスをより手軽に実装するためのSpritKit、SceneKit、Metalといった環境が整備されている。
加えて、AppleはSwiftという新しい開発言語を披露した。Swiftは、コードを書いたそばからプレビューが行える開発の効率性と、出来上がったアプリの高速性などがメリットとなる。開発者の裾野をより広げることが期待される。
このように、Appleはユーザーの動向とともに、開発者の意向にも耳を傾けてきた。iPhoneがどのように活用できるようになるのかを見る上で、開発者でなくても、SDKやAPIの新機能に注視することは重要なのだ。