2014年7月27日(日)、千葉商科大学市川キャンパスにて、会計ファイナンス研究科10周年を記念したイベント「Diversity~女性会計士の仕事~」が開催され、4大監査法人の女性会計士が仕事と働き方の“コツ”を語り合った。
なお「Diversity」(ダイバーシティ)とは「多様性」の意味で、性別、国籍、年齢などを問わずに人材を活用すること。1960~70年代にアメリカで生まれた考え方とされ、最近は日本でも取り組む企業が増えている。
「何より大切なのは、現場でいろいろな立場の人の話を聞くこと」
武見浩充・会計ファイナンス研究科長の司会でイベントは進行。まずは、日本公認会計士協会の関根愛子副会長が基調講演を行った。関根氏は、大学卒業後、外資系の銀行に入行。「資格を持っていた方が有利」と考え、公認会計士を目指して専門学校で学び、監査法人に入所した。男女雇用均等法もまだない30年前のことで、女性は1割ほどだったという。
6年目でマネージャーとなり、40社ほどを担当した。「小さな企業であればトップに会うこともあり、さまざまな会社の考え方、外資系ではその国の文化にも触れることができた」と話す関根氏は、会計監査を意味する英語「audit(オーディト)」の語源が「聞く」であることに触れ、「いろいろな立場の人の話を聞き、理解するという現場での経験が何よりも大切」と強調した。
また、現在、日本の女性会計士は3割ほどになったものの、アジアでは日本と韓国が女性の比率が低いと指摘。国際的には男女の比率が同一になりつつあり、日本の課題が浮かび上がった。
「長時間労働」「女性のリーダーシップ」……。ダイバーシティについての各社の取り組み
続いて、4大監査法人のダイバーシティ推進担当者──佐々木恵美子氏(新日本有限責任監査法人)、田村彰子氏(有限会社あずさ監査法人)、林敬子氏(有限責任監査法人トーマツ)、梅木典子氏(あらた監査法人)──が登場。各社のダイバーシティについて語り合った。
佐々木氏は、結婚・出産制度の整備に取り組んでいるものの、女性は一般社員で20%、管理職15%、経営執行部10%程度で伸びに欠けると発言。“日本文化”ともいえる「長時間労働」の問題と女性が控えめであることを指摘し、ワークライフバランスと、女性がおもしろいと思える仕事に就く機会を増やす必要があると語った。
その他、「男性が酒の場などで築くようなネットワークの構築を女性にも支援」(田村氏)、「出産・育児後のキャリア支援と共働きの男性も働きやすい環境づくり」(林氏)などの発言があった。梅木氏は「企業のニーズも変化する中、会計アドバイスも対応が必要」であり、「日本では“ダイバーシティ=女性の問題”と捉えがちだが、自分と異なるものへの対応、新しい価値づくりも必要」だとダイバーシティの本質に触れた。