――漫画のキャラクターを演じられることが多いですね。
そうですね。でも、志々雄までいっちゃったらもうやることないですね(笑)。もうね、次の世代にバトンタッチですよ。最近、カイジもやりましたし(笑)。漫画のキャラクターを演じるのは…原作ファンの方が大勢いるわけですし、賛否両論あって当然だと思うんです。でも、ある瞬間からそれを切って考えないと、うまく切り替えができないんですよね。ある時からシャットダウンしないと集中できません。ほかの人には言えない孤独というか不安はずっと感じてるんです。ネット上とかで自分のことが叩かれていたりもすることもわかってるし、そんなことを口にするこもとできない。でも、そこは切ってやらないと。
――藤原さんの演じる役柄に関しては概ね好評だと思いますよ。
志々雄はどうなんでしょうね。今はわかりませんが。僕はパソコンとかも使わないし、ネットを見たりすることもないので。でも、「あれは志々雄じゃない」って言われても当然。ただ、気にせずやることが大事なんじゃないかなと思います。
――先ほど、「転校生」とおっしゃいましたが、今回の現場はいかがでしたか。
贅沢な環境でやらせてもらったなと思います。"志々雄の最期"は(佐藤)健くんにも納得してくれる形にしてほしかったし、自分の中でも剣心が納得する"志々雄の最期"を見せたいと思っていて。でも、あれだけ慌ただしく現場が回っていると、そこまでの話し合いをする時間というのも取れなくて。難しいんですよね、まだ撮ってないところの話を現場でできないですし。ト書きに書いてあることを実際にどうやったらいいんだろうなという思いがありました。でも、面白くやらせてもらいましたよ。四乃森蒼紫役の伊勢谷(友介)くんは個人的にすごく好きな俳優さんなんですが、彼がいてくれてすごく救われました。
――伊勢谷さんの魅力とは?
これはね、何年も言い続けているんですけど、日本を飛び出してアジアや世界に行ける俳優さんだと思います。僕には全くない真逆のスタイルの俳優さん。いい意味で、自由に浮遊しながら突き進んでいく姿って面白いですよね。僕が言うなんておこがましいですけど、もっともっと突き進んでほしいと今回共演してみてもあらためて思いましたね。
――藤原さんが世界に飛び出すことは?
僕もやりたい。けれども、みなさんもそうかもしれませんが、すべての仕事にそれを求めることはできません。いい仕事もそうでない仕事もありますし。
――テレビでも「クズを演じることが多くなった」とおっしゃっていましたね。何がきっかでそのような役がくるようになったんでしょうか。
最近ですよね。今年はまだ映画撮っていなくて、去年のものが今公開されてるんですけど、そのタイミングが重なっているから客観的に見て「そんな役が多いな」と思いまして。そのことについては、自分の中では大したことじゃないんです。
――今回は「クズ」とは言い切れないと思いますが、そういう個性的なキャラクターを演じることは役者としてやりがいを感じますか。
やっぱり楽しいですよ。志々雄に関してもそうです。明治政府に対しての強い怒りを持っている役は面白いです。
――しかし、マスクの下では藤原竜也の怒りもこもっていた(笑)。
本当に大変(笑)。あれだけアクション部の人が「どうしてそんなに丁寧にやってくださるんですか」と敬意を表してくださっていることに対して、「皆さんが諦めずに教えていただけるので、それにたいしての恩返しなんです。必死についていきます!」と言いながら…あれだけ現場が回っている中でアクション部の人から「もう1度やらせてください」と言われると「誰? 誰? 俺のアクションが悪いの!?」って盾突いちゃう(笑)。そういう一面が出ちゃったり。必死だからこそ、そういう一言がポロっと出ちゃう現場でした(笑)。
――志々雄の姿で迫るんですよね。それは怖い(笑)。
そうですよね(笑)。詰め寄ったらアクション部から「いや! 志々雄じゃなくてこちらの問題なんで!」って言われて。でも、それは後で「こちらもテンパってたので」って謝りました(笑)。
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