マウスコンピューターのデスクトップPCの中で、特に購入しやすい価格で提供されているのが「LUV MACHINES」シリーズのAMD APU搭載モデルだ。最も安価なモデルでは3万円台(税別)、一番高価なモデルでも10万円(税別)を切る価格で提供されており、価格重視の人にとっては常に気になるシリーズのはずだ。
シリーズ最大の特徴は、AMDのAPUを搭載していることにある。APUとは、CPUにGPUコアを内蔵することで、グラフィックスカードなしでも高い3Dグラフィックス処理能力を備える、AMDの統合プロセッサを指す。このAPUを利用することで、PCをシンプルな構成で組み上げることが可能になるのだ。
今回はそんなAMD APU搭載「LUV MACHINES」シリーズから、5万円台(税別)で購入できる「LM-AR312B」をお借りすることができたので、そのパフォーマンスがどんなものか探ってみよう。
4コアCPUとRadeon GPUを統合した第4世代APU"Kaveri"を搭載
本機に搭載されているA10-7700Kは第4世代のAPUとなり、開発コード"Kaveri"という名称で知られる。CPU部はクアッドコアで、第3世代CPU"Bulldozer"系のアーキテクチャをブラッシュアップした"Steamroller"。定格動作クロックは3.4GHz、AMD Turbo Core機能により最大3.8GHzまで引き上げられる。GPU部には"Radeon R7"シリーズのアーキテクチャを採用しており、動作クロックは720MHzだ。CPU・GPUそれぞれバランスのいいパフォーマンスを発揮でき、導入コストも安価なことから自作市場で人気を博している。
シンプルで小型・軽量なマイクロタワー型の筐体
それでは外観からチェックしていこう。本体サイズはW180×D382×H373mmとなっており、ミドルタワーケースと比べるとその筐体は思いのほか小型だ。また重量は約8.11Kgと、持ち上げたときの重さはデスクトップPCとは思えないほど軽い。黒いプラスチック製のフロントパネルは光沢があり、精悍な印象を受ける。反面、若干だがほこりが目立ちやすい面もあるので、こまめに掃除をしてきれいなフロントパネルを維持したい。なお本体カラーはホワイトも選択できるので(無料)、インテリアに合わせて選ぶといいだろう。
フロントパネル下部の両サイドには、通気口が設けられている。5インチベイの最上段にはDVDスーパーマルチドライブが内蔵されており、フロントパネルに取り付けられたボタンを押すことでトレイがフタを押し開けて現れる。最下部のカバーの中は前面端子が収納されており、USB 3.0×2とヘッドフォン端子、ライン端子を利用可能だ。
光沢のある黒いプラスチックパネルで覆われた本体前面。5インチベイの最上段にあるボタンを押すとDVDドライブのトレイが現れる |
フロントパネルの最下段には、頻繁に使うであろうUSB 3.0や音声入出力端子を収納。またフロントパネルサイドには通気口を備えている |
本体背面はシンプルだ。拡張スロットは4スロットとも使用されておらず、通気口にもファンは装着されていない。バックパネルの構成はPS/2ポート×2、USB 2.0×2、USB 3.0×2、ギガビットLAN端子、7.1chオーディオ端子、そして映像出力端子としてDVI-DとVGA端子を備えている。パネルには黒いカバーも取り付けられており、安っぽい感じはまったくない。サイドパネルはフロントパネルと異なり金属製だ。APUと拡張スロットに当たる部分に通気口が設けられており、パーツ類の冷却を助けてくれる。
サイドパネルのAPUと拡張スロットの真上には通気口が設けられており、各パーツに直接新鮮な空気を取り込める |
サイドパネルを開けたところ。ケーブル類はケーブルタイで空いている5インチベイスペースにまとめられている |
コンパクトサイズでも高い拡張性を持った余裕のある内部構成
マザーボードはAMD A78チップセットを採用したMSIのA78M-S01。Webページの製品ラインナップには存在しないモデルなので、専用のカスタマイズ製品と考えられる。基板のレイアウトを確認する限り、最も近いモデルはA78M-E45だ。拡張スロットの構成は上からPCI-Express x16、PCI-Express x1、PCI、PCI-Express x16(x4で動作)。あとからグラフィックスカードを追加することでき、柔軟な拡張が行えるだろう。また開閉を行えないよう鍵などを取り付けられる金具は、必要に応じて出し入れできるようになっている。家庭で使うだけならいらないパーツでもあるので、こういった配慮はうれしい。
MSIのマザーボードA78M-S01を採用。AMD A78チップセットを搭載し、PCI-Express Gen3に対応する |
サイドパネルの開閉防止や、盗難防止に役立てられる金具は、必要に応じて出し入れが可能 |
ハードディスクなどを取り付けるケージは、ネジを2カ所外し、手前にスライドさせることで取り出せる仕組みを採用しており、ストレージの拡張も簡単だ。HDDケージは3.5インチベイ×2を備えており、そのうちの1つにHDDが搭載されている。ケース前面にもファンはなく、内部は非常にすっきりとした印象だ。このシンプルな構成が本体重量の軽さにつながっているのだろう。
ADATA製のメモリとAcBel製の電源で信頼性を確保
メモリスロットは2基で、ADATA製のDDR3-1600、4GB×2枚、計8GBが標準で搭載されている。1.35Vで駆動するため、わずかだが消費電力も軽減できそうだ。HDDは東芝製となっており、容量は500GB。もし速度や容量に不満がある場合は、BTOカスタマイズでSSDの追加や大容量HDDへの変更も行えるので、用途に応じて検討しよう。電源はケース上部に設置されており、数々の有名メーカーへ電源をOEM供給しているAcBelの製品を採用している。電力変換効率に関する規格「80PLUS」のBRONZE認証を取得しており、こちらも省電力に期待できそうだ。容量は構成に合わせて350Wと少なめなので、もしグラフィックスカードなどをあとから追加する可能性があるなら、BTOカスタマイズで500Wや700Wへ変更しておくことをお勧めしたい。
HDDケージには3.5インチドライブを2基搭載可能だ。そのうちの1基には500GBの東芝製HDDが搭載されている |
メモリはADATA製で4GB×2枚。標準では1枚のみとなるが、本稿執筆時点ではキャンペーンにより無償で増設されている |
ここまで確認したように、本体は必要最小限のパーツで構成されており、非常にシンプルだ。パーツの数は減れば減るほど故障の確率を減らすことができ、消費電力も軽減できる。しかも結果としてコストダウンにもつながるため、いいことずくめなはず。残る問題はパフォーマンスだ。次ページでは、本機の性能をベンチマークで試してみよう。