Firefox 31の新機能

今回の新機能と変更点は、以下の通りである。

  • 新しいタブに検索欄が追加
  • ペアレンタルコントロール用の安全なhttpヘッダ
  • mozilla::pkixが標準の証明書検証器に
  • ダウンロードしたファイルからマルウェアのブロック
  • OpenType MATH tableの一部分が実装
  • Windows版では、アプリケーションが設定されていない場合、Firefoxがoggファイルの再生およびpdfファイルの表示を行う
  • ソルブ語ロケールを追加
  • apability.policy.*を利用してサイト特有の許可設定を行うCAPSが削除
  • 日本語ロケール:検索エンジンにBingが追加

今回も、大きな新機能や修正はなかった。ルック&フィールで大きく変化したのは、新しいタブの検索欄であろう(図4)。

図4 検索欄が追加された新しいタブ

また、β版では世代別GCが実装されたが、31のリリースノートにはその記述がなかった。GC(ガベージコレクション)とは、不要になったメモリ領域をを自動的に開放する仕組みである。これまでの方式では、メモリ領域が満杯となったときにGCをすべて行う。この方式の欠点は、メモリ領域が大きくなるとGCの時間がかかり負荷がかかる。そこで、新しい領域と古い領域にメモリ領域が分けて管理される。世代別GCでは、先に新しい領域が満杯になった時点でDCが行われる。この操作で残ったオブジェクトは古い領域に移動する。そして古い領域が満杯になると全領域のGCが行われ(当然、こちらの方が更新頻度は低い)。全領域がGCされることが少なくなり、効率よくメモリを増やすことができる。

oggの再生やpdfの表示は、Windows版のみ新機能である。Firefox 31がこれを行うためには、Windowsにそれらのファイルの再生設定がされていないことが条件となる。pdfに関しては、バージョン19で表示機能が搭載されたので、目新しい機能ではないだろう。ファイルの関連付けがFirefoxに対し行われる。oggは、マルチメディアファイルのコンテナの1つである。どちらかといえば、オーディオコーデックのVorbisの方が一般的である。こちらのサポートもFirefoxでは、バージョン3.5からなされている。上述の条件のもとで対象となるファイルがあるとFirefoxのアイコンとなり、ダブルクリックで再生・表示が行われる。

図5 oggオーディオファイルを再生

OpenType MATH tableであるが、TeXなどのように綺麗な数式組み版を実現する試みである。実際にSTIXフォントなどをインストールし、MathML Tortureテストのページを表示したのが、図6である。

左の列は、TeXで組み版したものを画像として表示している。左の列がFirefoxが表示している。ドラッグすればテキストであることが確認できる。開発者向け、HTML5関連の新機能は、以下の通りである。

  • 開発ツールでアドオンデバッガが利用可能に
  • 開発ツールでCanvasデバッガが利用可能に
  • Array.prototype.fill()が利用可能に
  • Object.setPrototypeOf()が利用可能に
  • CSP 1.1のnonce-sourceとhash-sourceが標準で利用可能に
  • Webツールでカラーピッカーにスポイトが利用可能に
  • Webツールで表示されているボックスモデル中の数値を編集可能に
  • Webツールでエディタにさまざまな機能が追加
  • Webツールでコンソールのスタックトレースが表示可能に
  • WebツールでcURL形式でコピーが可能に
  • Webツールでコンソールへログをスタイル付きで出力可能に
  • navigator.sendBeaconが標準で利用可能に
  • onbeforeunloadイベントで生成されたダイアログが、ブラウザの他の部分へのアクセスをブロックしなくなった
  • WebVTTが実装され、利用可能に
  • CSS variablesが実装

HTML5のWebVTTは、時系列にそったテキスト表示に利用されるデータフォーマットである。video要素に字幕を追加する機能といえば、わかりやすいだろう。