ディズニー史上最高の大ヒットを記録し、今もなお劇場公開している『アナと雪の女王』。7月16日に発売されたMovieNEXは、予約時点でミリオン達成と、躍進が止まらない。その日本語吹替版でアナの声を担当した神田沙也加は、演技力と歌唱力が高く評価され大ブレイク。本作で生かされた舞台・ミュージカルへのこだわりや、今後の活動についてインタビューする中で、彼女の原動力になっているあふれ出る向上心が伝わってきた。

また、先日行われた『アナと雪の女王 MovieNEX』発売記念イベントで初めて顔を合わせた、大人のアナ役の神田、子供時代のアナ役の諸星すみれ、幼いアナ役の稲葉菜月。3世代のアナに、演じるにあたって意識したことや、将来の夢について聞いた。

神田沙也加
1986年10月1日生まれ。東京都出身。舞台を中心に女優としてのキャリアを積み、多数のミュージカルに出演。2014年6月にユニット・TRUSTRICKでデビューし、アルバム『Eternity』をリリース。透明感ある声と演技力に定評がある

――『アナと雪の女王』は神田さんのこれまでの舞台・ミュージカルでの経験が生きた作品となりましたが、舞台・ミュージカルに重きを置いてきたきっかけを教えてください。

神田:一度、芸能活動を休止していた時があって、20歳の時に舞台で復帰しました。何でもかんでも同時期にやるのではなく、一つのジャンルを極めたい、一つのジャンルを意図的に選んでやっていきたいという思いで復帰したので、そこからは意図的に舞台ばかりをやってきました。というのも、17歳の時に宮本亜門さんとご一緒させていただいて、その時の思い出が、"舞台・ミュージカル=楽しい"という記憶だったので、その記憶を頼りに舞台という道を選んだ気がします。

――どういったところに舞台・ミュージカルの楽しさを感じたのでしょうか?

神田:自分としてステージに立っているよりも、役というフィルターをもらうことによって、よろいを身に着けているみたいに強気でいられるというのがあるんです。また、17歳の時にやらせてもらった役がコメディ要素のある役だったので、どういう風に客席を笑わせようか、今日は何をしようかと、日によって違う客席の空気を読むのが楽しかったんです。

――今回、舞台・ミュージカルの経験に加え、学校にも通って磨いた声優経験も生かされましたね。

神田:声優も、役というフィルターがあります。アニメーションもゲームも好きでしたし、自分が前に出て"女優です""歌手です"というより、裏方気質の方がいいんです。今は声優さんも顔出しが当たり前になっていますが、私が子供のころはまだ声優さんはあまり表には出てこない未知の存在で、そういう意味でもワクワクしていたので、そんな風にどんな人だろうって想像力を膨らませられる声優になりたいって思ったのが、一番最初に志したものだったんです。どちらも勉強していてよかったなと思っています。

『アナと雪の女王 MovieNEX』

――本作では"真実の愛"がテーマでしたが、実際にご自身は見抜けると思いますか?

神田:どういう形かにもよりますが、けっこう慎重なところもあるので、対人間の場合は、できる限り見抜こうとは思います。愛は形のないものだからこそ、感じるものなんじゃないかなと。フィーリングが合うかどうかとか、自分がそこに身を置いて心地よいかよくないか、疑問がないかとか。

――ディズニー史上最高の大ヒットとなり、神田さんの演技力・歌唱力に注目が集まった本作。今後の神田さんの活動に与える影響とは?

神田:自分のプロフィールで気に入っているのは、自分の直感などを頼りに、規模関係なくいい作品に関わらせていただいたことで、それが誇り。なので、これからも規模は関係なく、いい台本だったり、いいストーリーだったり、いい環境のもとで、仕事を選んでいくというスタンスは変わらないと思います。ただ、今回の機会でたくさんのお話をいただくようになったので、その中から自分にあったものを選んでいきながら、また新しい布石を打っていかなきゃいけないのかなと思っています。

――特に力を入れていきたい分野などはありますか?

神田:『アナと雪の女王』もいろんな要素が融合していますし、声優しかやらない、ミュージカルしかやらないということはありませんが、声優にはずっとなりたかったので、だからこそ自分でスクールに通ったりもしていたので、もう一度学校に行ってレッスンを受けるなど、スキルアップしたいなと思っています。まだすべてにおいてレベルアップが必要です。自分の持っている力の最低ラインを常に引き上げていかないと。次に何かチャンスをいただいた時に、自分の実力のなさでできないというのはすごく悔しいですし、そこには終わりがないと思っています。

――大ブレイク中の今、6月25日に新ユニット・TRUSTRICK(トラストリック)もデビューしましたね!

神田:よろいを身に着けていない部分、神田沙也加として歌っていくので、そこには自分が作り出すものの責任をよりいっそう追っていこうという気持ちがあります。また、今回、ソングライティングする人がメンバーにいることで、制作の現場がより身近になり、音楽を昔よりも楽しめるようになりました。楽しんでいきたいという思いが強いですね。

大人のアナが登場する『アナと雪の女王』場面写真