では、DTCP-IPに対応しているレコーダーではどうか。ここでは、手軽にDTCP-IPを体験できるレコーダーとして「nasne」を使って検証してみる。
nasneはそもそもDTCP-IPでの視聴を前提としたレコーダーで、テレビに直接つなぐのではなく、ネットワーク経由で配信することを想定している。その意味で、タブレットでテレビを観るには最適……のはずだ。
実際に、録画番組をiPad mini上のDiXiMで視聴しようとすると、素早く録画一覧が表示され、そして観たい番組をタッチすると、わずか数秒で再生が始まる。その後も再生は止まらず、快適に視聴できる。10秒戻し、30秒送りをタッチしても、1~2秒でジャンプできて、専用レコーダー並みといってもいい。
DiXiMではアドオンを購入することで、録画した番組をiPad上にダウンロードすることもできるので、外出先でも視聴を行える。nasneは非対応だが、対応レコーダーであれば、外出先から直接レコーダーの録画番組を観る、といったことも可能。
ただ、さすがにメモリ消費が激しいようだ。iPad miniを使っていて途中で再生が止まってしまう場合、アプリの終了をするだけではダメで、再起動してメモリを解放すると無事に再生できた。検証のため、ほかの端末でも試してみた。ちょっと古めの「GALAXY S4」上でTwonky Beamで再生してみたところ、動作がかなり重く、OSを巻き込んで再起動してしまったこともあった。
タブレット端末は新しめのものを使わないとダメ?
こうした点から、「DTCP-IP対応の最新のレコーダー」「一定のパフォーマンスを備えたタブレット」という2つの条件があるようだ。ただ、意外なことに古い「Sony Tablet S」」や「MEDIAS TAB N-06D」だと快適に動作したので、ハードウェア構成やソフトウェアによっても異なるのかもしれない。いずれにしても、タブレットは十分なスペックはあった方がいい。
DTCP-IPの最新規格である「DTCP+」からは、外出先からの遠隔視聴もサポート。それに加えて、「次世代放送通信フォーラム」(NexTV-F)によるリモート視聴要件も登場し、こちらも外出先からの遠隔視聴が可能になる。
こうした機能を利用するには、できるだけ最新のレコーダーが望ましい。DTCP+は録画機とは別に対応NASなどを用意する必要があるし、NexTV-Fの要件対応レコーダーはまだ多くはないが、バージョンアップで対応する製品もあわせれば、2013年以降の製品だろう(ちなみに、nasneはリモート視聴に対応予定だが、現時点で時期は明らかにされていない)。このタイミングのスマートフォンやタブレットだと、録画番組を再生するためのパフォーマンスもほぼ問題なさそうだ。
タブレットでのテレビ視聴にどこまでこだわるか、という点も踏まえる必要があるが、「録画した番組を自宅の風呂に入りながら、タブレットで視聴したい」「海外旅行時にも録画番組を視聴したい」「外出先で放送中のテレビを観たい」……そんな積極的なテレビユーザーであれば、やはりどこかでレコーダーもタブレットも「最新の機種をそろえる」という思い切りが必要なようだ。