3枚目の映像はやはり建物の中だが、手前の明るい部分と、奥の暗い部分の両方がしっかりと表現されていることがわかる。4枚目は、ニュージーランドの夜景を撮影したものだ。明るい部分と暗い部分が混在している画面だが、どちらも破綻せずに表現されていることがわかる。

4K映像のサンプル・その3(下段は部分拡大)

4K映像のサンプル・その4(下段は部分拡大)

画素数とフレーム数が増えたことで、圧倒的な情報量となっている4K放送だが、規格上10bitカラーを使用することができ、色域の拡大も行われている。ただし、シャープの担当者に聞いたところ、2014年7月時点では10bitカラーを伝送できるHDMIチップが存在しておらず、現行の製品ではこの恩恵を受けることはできないとのことだ。

現時点で4K放送の受信環境を揃える意味は?

2014年7月現在で、Channel 4Kを受信するために機材を揃える意味はあるだろうか? 映像の差は圧倒的で、スポーツ中継や世界遺産など魅力的なコンテンツも存在する。しかし、放送されているコンテンツはまだそれほど多いというわけではなく、同じ内容が繰り返して流されているに過ぎない。この1チャンネルを受信するためだけに、4KテレビとTU-UD1000を導入するというのは果たしてどうだろうか。

大画面テレビのハイグレードモデルは、4K対応製品にシフトしつつある。大画面テレビを購入すると、チューナーは別としても、4Kの視聴するための基本的な環境が自然と整ってしまう時代だ。「4Kは普及するのか?」という議論がよくあるが、受信機材に関しては既に普及が進みつつあるといってよいだろう。しかし、受信のための機材の普及だけが先行しており、コンテンツの充実はそれに追いついていない。

4Kテレビや4K対応プロジェクターの本来の性能を引き出せる放送コンテンツは、2014年7月の段階では、Channel 4K以外には存在しない。TU-UD1000はスカパー!プレミアムサービスのチューナーとしても機能し、将来的にスカパー!の衛星を使用して4K本放送が始まれば、そのまま利用できる。すでに4Kテレビや4Kプロジェクターを持っていて、これからスカパー!プレミアムサービスに加入したいと考えるのならば、チューナーにTU-UD1000を選択するという意味は十分にあるだろう。

「TU-UD1000」

スカパー!ICカード用のスロットを装備

2014年7月現在でスタートしている、あるいはこれからスタートが予定されている4Kの視聴環境は、Channel 4KのほかにNTTぷららの4K VODサービス、ケーブルテレビ(CATV)などがある。また、4Kの次には、スーパーハイビジョン(8K)の放送が控えている。2020年に本放送スタートを目指すとされており、2016年には試験放送が開始される予定だ。124/128度CSと110度CSを利用し、8Kと4Kの放送が行われることになるらしい。

これらのうち、現在発売されている4Kテレビで確実に受信できるのは、NTTぷららの4K VODサービスとCATVだ。これらは、4KテレビがHDMI 2.0とHDCP 2.2に対応していれば、専用チューナーやSTBを接続することによって受信が可能になる。

一方で情報通信白書に記されているロードマップでは、8Kと同時にスタートする4K放送に関して、次のように位置付けられている。2016年の段階で8Kは希望する視聴者が見られる、いわゆるプレミアムな環境とし、4KはSTBなどを接続することでより多くの視聴者が利用できる環境とのことだ。これを読む限り、現在販売されている4Kテレビでの視聴は可能と思われるが、まだ先のことであり、確実ではない。

「4K/8Kの普及推進に関するロードマップ」 出典:情報通信白書

しかし、2016年の段階で本格的な普及を目指していることは確かなようだ。2014年時点での4K放送や4K VODは、新しいものが好きで、2016年まででも4Kコンテンツを楽しむことに価値を見出せる、いわゆる"アーリーアダプター"を対象としたサービスといえるだろう。