今回の話題は大きく2つの点で非常に興味深い。まず、Appleが2010年にウェアラブル専門家を雇った話のほか、Apple以上にフィットネス分野での長い実績を持つNikeからはFuelband開発者を自身のプロジェクトへと引き入れたことが昨年2013年に伝わるなど、過去数年のAppleのリクルート活動はウェアラブル製品そのものの開発や関連ソリューション開発に根ざしていた傾向があるが、今回のPruniaux氏は営業やリテールチャネルの専門家であり、開発から販売・マーケティングと、Apple内でのプロジェクトが進み、実際に発売に向けてのカウントダウンが進みつつある様子がうかがえる。
もう1つは、iWatchなどの名称で呼ばれる腕時計型デバイスの位置付けだ。タグホイヤーといえばスイスの高級腕時計ブランドとして最たるものの1つだが、それを含めてLVMHでブランドまわりのリテール事情を知り尽くした人物がiWatch登場前にAppleに参加したとなれば、ある程度Appleの目指す方向性が推察できる。
Appleの過去の動きを見る限り、iWatch自体は決して特別高級品ではないものの、製品自体を"ステータス"の1つとしてユーザーに使ってもらえるものを考えていると思われる。具体的には、機能もさることながら、ファッションアイテムの一種としてiWatchを活用してもらえるような感じだ。筆者的には最近Appleが買収を表明したBeatsの高級ヘッドフォンのようなものをイメージしている。スペック的には突出しているわけではなくても、ファッションアイテムの1つとして、まずは多くの人に使ってもらい、生活シーンへの浸透を狙うようなものだと考える。