NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で"ふ久"を演じた女優・松浦雅が、新たな一歩を踏み出す。7月8日スタートのフジテレビ系ドラマ『GTO』(毎週火曜22:00~)で、生徒・波多野麻理子役に抜てきされた。中学時代に"デブス"といじめられたことから目と鼻をプチ整形し、高校では読者モデルとして生まれ変わった麻理子。ところが、整形したことが周囲に知られてしまい、築き上げた日常が急転する。
『GTO』といえば、1998年に反町隆史主演で放送され、2012年にEXILE・AKIRA主演で復活した人気シリーズ。今回放送されるのは、AKIRA主演の第2弾となり、ヒロインの比嘉愛未がドラマのために16年ぶりのショートカットにするなど話題を集めている。その第1話のメインとなるのが麻理子。朝ドラ撮影中は無我夢中だったと語る松浦だが、今回を機に本当の意味での"朝ドラの重圧"を知ることになる。しかし、その表情に漂うのは期待と充実。半年前のインタビューとはまるで別人の"女優・松浦雅"が、目の前にいた。
――『ごちそうさん』も3月で最終回を迎えました。撮影を終えて、いかがですか。
いい意味であんまり何も変わってないというか。生活が変わるような、極端な変化はあまりないと思います。あとは、私にとってはホームの関西での撮影だったので…学校に行くみたいな感じ(笑)。私以外の方々が みんな学校の先生のような存在で、多くのことを学ばせてもらった場所でした。学校のようにただただ楽しかった思い出しかありません。
――支えとなったのは共演者? スタッフ?
全員です(笑)。一人でいたい時はいれますし、誰とでもいれるような空間。もちろんスタッフさんも。私自身は途中参加で、4カ月ぐらいしか一緒にいれなかったのですが、皆さんがそういう環境にしてくださって。関西弁が飛び交っていましたし…みんな家族でした。ドラマも家族の話だったんですが、みんなが家族のような雰囲気になることを意識しているわけではなくて、自然とそう思っている人たちが集まって1つになっている。そんな感じでした。
――それだけのものが終わってしまうことに、さびしさはないんですか。
特にありませんでした。泣くこともありませんでしたし…あっ。クランクアップの日、モニターチェックを終えてから囲み取材という流れだったんですが、そのモニターにサプライズでスライドショーが映し出されて。クランクインから振り返る内容だったんですが、その中で私が出てきた時に「参加できてたんだ」「仲間になれてたんだ」と初めて実感が湧きました。もちろんオンエアは見ていましたが、その時は泣いてしまいました。その涙は寂しさとかではなくうれし涙。私は途中参加で、周りは大先輩。そこに私が入っていいのかなという気持ちも心のどこかにはあったんだと思います。
――出演前と比べて周囲の反応は?
放送中より気づかれることは少なくなったんですが、すれ違った時に口をポカーンと開けて私を見ている方が時々いらっしゃいます(笑)。たぶん"ふ久"の役のイメージが強くて、話しかけづらいんだと思います。『ごちそうさん』の後に『花咲舞が黙ってない』の4話に出演させていただいたんですが、その時もスタッフさんに「ふ久ちゃんだー!」って喜んでいただけて(笑)。そうやって物語の役柄として見られるということは、やっぱり『ごちそうさん』は色んな方が見てくださっていたんだと感じました。
――昨年12月にお話をうかがったときは、朝ドラの経験を生かして「準備をして」次につなげたいとおっしゃっていました。7月8日スタートのドラマ『GTO』(フジテレビ系)に波多野麻理子役で出演しますが、撮影前には監督を交えたワークショップが行われたそうですね。
同世代の男の子と女の子が集まっていて、俳優や女優、アイドルをやっている方もいます。それぞれが自分のことでいっぱいいっぱいなんですが、「1年間同じクラスで過ごした高校2年生」という設定なので、生徒間の雰囲気も作っていかないといけません。そこを配慮して、スタッフさんがその場を用意してくださいました。だから、自発的に準備をしたというよりは、スタッフさんに準備をしてもらったという感じです。
――そこではどのようなことを?
1話や2話の本読みとか、あとはキャラクターの方向性を監督と話し合って、自分の中で役の目的をはっきりさせる作業でした。
――3話までは、『荒川アンダー ザ ブリッジ』(2012年)など映画監督としても知られる飯塚健さんが監督を務めます。これまでの演出などで印象に残っていることはありますか。
最初は雰囲気が怖かったんですが、時間が経つにつれてどんどん好きになって。とても温かい方なんですが、お顔が無表情なので(笑)。あとは物事をオブラートに包んでおっしゃる方ではないので、余計に怖い印象だったんですが、おっしゃっていることが納得できて分かりやすくて。褒めてくださるので…操られているかもしれないですね(笑)。
厳しいことばかりで対立してしまうと、作品にとってはマイナスなこと。かといっていい関係だけを作ろうとするのもよくないと思うので…厳しい言葉も優しい言葉もかけてくださる飯塚監督、私たちにとってはまさに先生のような存在です。