「誰もが知っている有名な『呪怨』シリーズということで、親にも恩返しができると思いますし…」。シリーズ10作目となる人気ホラーの最新作『呪怨-終わりの始まり-』(6月28日公開)の主演に抜てきされた女優・佐々木希は、今年2月に行われた製作発表記者会見でそんな言葉を残した。日本を代表するホラーで、ハリウッドでもリメイクされるなど多くの人を恐怖の渦に巻き込んできた『呪怨』。「ホラーは苦手」と言う彼女は、なぜ本作に出演することを「恩返し」と捉えているのか。

佐々木希
1988年2月8日生まれ。秋田県出身。2006年の第2回プリンセスPINKYオーディションでグランプリを受賞し芸能界入り。以降、モデルを中心に活躍の場を広げ、2009年の『天使の恋』で映画初主演。現在も『Oggi』や『With』といった女性誌でレギュラーを務めるほか、映画では『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』の公開を2015年初冬に控え、7月放送ドラマ『信長のシェフ Part2』『必殺仕事人2014』などに出演する。
撮影:荒金大介(Sketch)

佐々木が演じるのは、小学3年生の担任・結衣。不登校を続けている生徒・佐伯俊雄(小林颯)の自宅「呪われた家」に足を踏み入れることで、恐ろしい出来事に巻き込まれていく。さまざまな恐怖を演じ分ける上で役に立ったのは、昨年5月に出演したドラマ『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)。ところが当時の演技に納得していなかったことから、本作はその「リベンジ」なのだという。今回のインタビューでは、"呪怨"と"恩返し"を紐付けるヒントを探る中で、多くの人に愛される彼女の魅力が垣間見られた。

――今年2月のイベント(製作発表記者会見)で、「ホラーは苦手」とおっしゃっていましたね。今まであまり見たことがないんですか?

『リング』が流行った時に見たんですけど、それでホラーは二度と見たくないなと思って(笑)。それ以来、まったく見てませんでした。トラウマですね。特に日本の作品は本当に怖いです…。でも、そのイメージが強かったおかげで、今回の作品にも生かせていると思います。

――本作は人気シリーズの第10作目。日本のホラー映画の中でもかなり人気の高い作品です。オファーを受けてのプレッシャーはありましたか。

誰もが知っている『呪怨』の主演ということで、確かにプレッシャーはありました。出演させていただくにあたって、過去の作品を見た方がいいのかなとも思ったんですが、歴代の方々に引っ張られて似たような演技になってしまう気がして、何も見ないで全く情報を入れない状態で現場に入ることにしました。監督もホラーを何作もやっている方なので、監督にすべてを委ねました。

――最初の衣装合わせでは、落合正幸監督は優しい印象だったそうですが、現場ではいかがでしたか。

すごく優しくて、丁寧で。分からないところも全部教えてくださる方です。すぐに理解できるように明確に説明してくださるので、作業としてはすごくやりやすかったです。中でも、頼らせていただいたのはリアクション。叫んだり、怯えた表情をする機会は日常生活であまりありませんので、そんなに引き出しを持っていなくて(笑)。心配だったんですけど、割りと伸び伸びとやらせていただきました。

――さまざまな恐怖の演じ分けが求められたと思います。

はい。なので撮影の前に打ち合わせをして、そのあたりの違いの部分は明確に説明していただいていました。そこで言われたこと、気持ちや表情を台本に全部書いて、あとは現場のテストでそれを固めてから本番にむかっていました。

――通常、「うまい」とされる演技は「自然さ」が重要だと思います。ただ、先ほどもおっしゃったように絶叫や悲鳴には、非現実的な「不自然さ」をはらんでいます。私はこの作品を見た時にほどよい見せ方だなと感じました。オーバー過ぎず。

叫んだりするシーンでは、「感じたままでやって」のようにそんなに細かい指示はありませんでした。そんなにテイクも重ねなかったんですが…撮影の合間に伽椰子さんや俊雄くんとも仲良くしゃべっていたりしたので、現場では全然怖くないんですよね(笑)。だから、カメラが回ったら本当に怖いものだと想像していました。

――壁に寄りかかりながら、泣き叫んでへたり込むシーンなんか、とても印象的でしたよ。

そうですか(笑)。実際に自分がその状況になってたら…と想像しても本当のところはよく分からなくて。分からないなりにやっているうちに段々理解することはできたんですが、そういう演技の加減は難しかったですね。