気鋭のクリエイティブ企業トップが3Dプリントについて思うこと
続いて、チームラボ 代表取締役社長の猪子寿之氏、ピクシブ 代表取締役社長 片桐孝憲氏、そしてアドビ システムズの栃谷氏(司会進行)の3名によるパネルディスカッションが実施された。
「デザイナーやクリエイターと3Dの関わりについて」というテーマに対して片桐氏は「3Dという分野は、これまで発表の場が少なかった。若いクリエイターはどんどん3Dへ進むべきだし、僕らもサポートしていきたい」と述べ、猪子氏は「3Dで作成したデータは再利用しやすく、長期的には作業効率も上がる」ことを強調し、さらに「プロジェクションマッピングなど立体的な空間に投影するものは、やはり3Dで作る必要があるのではないか」と語った。
次に「3D市場について、3Dプリントの現状や今後の期待値」について猪子氏は、「3Dプリントが普及することで、これまで2Dでイラストを描いていたクリエイターが3Dの道に入りやすくなっていくのでは」と予想。片桐氏も「たとえ簡単なものであっても自分だけのフィギュアを簡単に作成でき、それを立体的な作品として残せるメリットは大きい。フィギュアのようなものも同人の間でマーケットになっていくかもしれない」とし「マーケットで成り立つかどうかは関係なく、趣味の延長で作りたいモノを作れるのはすごいこと」だと述べた。
最後に「DMM.comに期待すること、アドビに期待すること」に関して、猪子氏は「現状でもかなり安くなったが、コストを下げてさらに価格を下げること」と述べ、片桐氏は「納期まで何日もかかるとテンションが下がってしまう。納期を早めてほしい」と語った。
秋葉原に"ものづくり"の拠点をオープン
発表会の締めくくりには、DMM.com 3Dプリント事業部 事業部長 白井秀範氏がDMM.makeの広がりと今後の展開についての概要を説明した。3Dプリントサービスで作ったモノを売ったり買ったりできる「クリエイターズマーケット」では現在、スマートフォンケースなど約1,800点出品されているということだ。
また、クリエイター向けのメディアとして「ものづくり系のニュース」や「クリエイターからの投稿記事」のコンテンツが用意されていることも紹介。今後の展開として、東京都・秋葉原に新しいものづくりの拠点を作ることを明かした。秋葉原駅からほど近い富士ソフトビルの3フロアを使用し、工作機械などを取りそろえた「ガレージ」、3Dプリンタやレーザーカッターなどを取りそろえた「3Dプリントセンター」、さらにものづくりを行う企業が入居できる「テックシェアオフィス」を構築。ここでは、3Dプリンタで実際に造形しているところを見学・体験できるということだ。
さらに、3Dプリンタで作成した造形物のコンテストを積極的に主催・協賛し、その製品化をサポートしていくということだ。最後に白井氏は、「今後もアドビ システムズとDMM.makeは今回の連携に限らず、さまざまなサービスを通じて、今後もクリエイターの方々がもっと活躍できるような場をどんどん提供していきたい」と締めくくった。