品川女子学院という中高一貫教育を行なっている女子校をご存知だろうか。戦前から続く名門校で知られ、企業とのコラボレーション授業例も枚挙に暇がない。
例えば、文化祭「白ばら祭」では、模擬店を株式会社に見立てて、一般企業や税理士などの支援を受けながら高等部の生徒自身が企業経営を行なっている。実際に運営した上で利益が出た場合には、図書券として生徒に還元される。そのため、社会や会社の在り方を前向きに学習する子が多く、保護者などからの評判も上々なようだ。
キユーピーや伊藤ハムとコラボレーションを行ない、マーケティングを勉強するといった取り組みや、先日発表されたEvernote Businessの導入など、先進的な取り組みを進める同校。この春は「Yahoo!検索×品川女子学院」として、中等部3年生、高等部1年生に対してYahoo!検索サービスについての授業を行ない、検索サービスを生徒が学ぶのと同時に、ヤフーも「"ひらめき"を生徒達から募る」という試みが行なわれた。
ヤフーサービスを親しんでもらうために
ヤフーの「Yahoo! JAPAN」といえば、ネット黎明期からのリーディングカンパニーとして日本におけるネットの屋台骨を支えてきた存在。その一方で、スマホ時代に差し掛かり、デバイスの根幹である「OS」を押さえているGoogleに検索窓を押さえられ、必ずしも盤石とは言いがたい状況にある。
とりわけヤフーが課題と認識しているのが、未成年者の認知度だ。20歳以上のPCからネットに触れてきた世代では、PCを開くとYahoo! JAPANがデフォルトのホームページに設定されているケースが多く、多彩なサービスと合わせてそのままヤフーという存在に慣れ親しんでいった経緯がある。
一方で未成年者は、先ほども触れたようにスマートデバイスからネットに触れた人間も少なくなく、ヤフーを知らない子もいるという。若年層にヤフーを知ってもらい、使ってもらうようにするためにはどうすれば良いのか。じかに耳をかたむける機会を得る意図もあり、今回のコラボレーション授業が実現したというわけだ。
このコラボレーション授業「Yahoo!検索 女子中高生企画会議」は、5月頭から全8回の日程で実施。授業では、ヤフー社員によるサービス説明があったあと、それを受けて「自分ならこう使う」「どうすればサービスを使ってもらえるようになるか」といった生徒たちの"答え"を出してもらうプレゼンテーションが行なわれた。
筆者が取材したのは「リアルタイム検索」についての授業で、同サービス担当者の数名が生徒たちにリアルタイム検索の説明を行なった。リアルタイム検索は、TwitterとFacebookの公開投稿をリアルタイムに検索できるサービスだ。
Twitter利用者が約6割というクラスの中で、「リアルタイム検索」を元々知っていた生徒は約3割と認知度は意外(?)に高い結果となった。このサービスでSNSの投稿が検索できる説明を受けると「使ってみたい」と答えた人は6割強に増えた。一方で、簡単に投稿を見つけられてしまうことから、SNS投稿の公開範囲を指定する重要性を学んだ生徒もいたようだ。
中学3年と高校1年生にあたる生徒が授業を受けていたが、スマートフォンの所有率はかなり高く、中にはAndroid端末の2台持ちという子も。ただ、都内の女子校という状況にあってか、ほとんどがiPhoneユーザーだと先生は話す。同校では、コンピュータールームにMacBookを導入しており、高等部2年生には試験的にiPadの配布も行なっているとのことで、そうした影響もあるのかもしれない。
サービス説明後の生徒たちのプレゼンテーションでは、「このサービスをどう利用するか」「どうPRすればいいか」について真剣に議論していた。マーケティングの授業を中高生の段階で学ばせる同校の教育方針からか、PR方法のプレゼンテーションには特に熱が入っており、屋外広告やCM、口コミといった様々なPR手法を提案していた。
こうした提案に対してヤフー 検索サービスカンパニー リアルタイム検索 サービスマネージャーの一戸(いちのえ) 美穂さんは「サービスをあまり知らない人が多い中で、使うシーンがしっかりイメージできている人が想像以上に多く、素晴らしいと思った。良いものを作るだけでは、企業の収益は成り立たない。どういう人たちにどういうやり方で届ければ良いかとPR戦略を練ることが重要で、そういう意味で、みんなの意見を聞けて良かった」と話した。