オーバークロックにチャレンジ
次にいよいよオーバークロック動作である。設定方法だが、Z97-DeluxeのBIOS Setup(Photo13)の中で
- CPU Core Ratioを"Sync all Cores"にする
- "1-Core Ratio Limit"を目的の倍率にする
- "Min. CPU Cache Ratio"と""Max. CPU Cache Ratio"も同じ倍率にする
という形でおこなった。これをやると、全てのコアが常に同じ動作周波数で稼働する。 これを使って35倍(3.5GHz)から動作周波数を1倍ずつ引き上げていった。なお Core i7-4770Kの場合、46倍ではコア電圧を+0.4Vしてもすぐにハングアップしてしまったのでテストを放棄した。
一方のCore i7-4790Kの場合、45倍はコア電圧を+0.1V、46倍は+0.2V、47倍は+0.45V、48倍は+0.5Vとした。ちなみに48倍では、CineBenchは何とか完走したがAIDA64のSystem Stability Testは4分前後でハングアップしてしまったので、こちらは47倍までの結果をまとめている。
さて、グラフ2が、おのおのの倍率におけるCineBench R15の結果であるが、ごらんの通り44倍までは完全にグラフが重なっており、動作周波数が同じであれば性能が同じ、というごく当たり前の結果が得られた。Core i7-4790Kで45倍以降がちょっとおかしい件は後でもう少し詳細を示したいと思う。
グラフ3は、AIDA64のSystem Stability Testを実施して、5分経過時のコア温度をプロットしたものである。倍率にもよるが、Core i7-4790Kは同じ動作周波数だと最大で13℃ほど温度が下がるケースがある(41倍)ことがここから読み取れる。
ただ、同じ発熱でも温度が下がる、とは必ずしも言い切れない。コアによって同じ動作周波数でも発熱が変わる可能性があるからだ。そこで、同じく5分間の実効消費電力から、グラフ1と同じく安定後(30秒~270秒の間)の平均値と最大値をそれぞれ取得してプロットしたのがグラフ4と5である。
概して今回テストしたCore i7-4790Kは割とアタリのコアらしく、Core i7-4770K(こちらもES品で割りとアタリのはずなのだが)と比較して平均値で15.6W / 最大値で16.4W(どちらも39倍)ほど低い値となっている。こうなると、グラフ3の結果が、TIMの改善により放熱効果が増したことに起因するのか、それとも消費電力が減ったことによるものなのか、にわかに判断しにくい。
そこで、グラフ3とグラフ4とグラフ5のデータを基に、消費電力と温度の相関関係をプロットしたのがグラフ6とグラフ7である。Core i7-4790Kの右上の方が変なカーブになっているのは後で説明するので、ここでは取りあえず無視していただくとして、100W~160Wあたりの範囲で見ると、同じ消費電力であっても最大で10℃近い温度低下が実現されていることが分かる。ということで、確かにTIMの変更による放熱効果(というか、ダイ温度の低減効果)は確実にあることが読み取れる。