その"秘策"とは、今までの「挑発ポスター」路線に変化を加えるべく、キャッチコピーよりもデザインに強くこだわったものを作製するということだ。そのバージョンで挑んだのが2008年だ。
劇画タッチのイラストで勝負した2008年
「2008年は、従来のメッセージでの挑発に若干目新しさがなくなったような部分も感じてきたため、劇画タッチでの挑発ポスターを展開しました。『挑発』という観点でいうと少し違うかもしれませんが、ファンや各球団スタッフの間では非常に評判がよかったのを覚えています」。
確かにこの斬新な劇画調のイラストは、一目見たらなかなか忘れることができないだろう。ファンらの声を聞いて、これまでのコンセプトに変化を加えるという"冒険"は間違いではなかったと梶原広報は胸をなでおろしたという。
かつての「戦友」からの言葉で、より過激な挑発へ
好調だった「挑発ポスター」だが、ややマンネリ感も出てきたということもあり、しばらく作製をしない年が続いた。ところが、1~2年ほど前にファンサービスをより向上させるべく、「マリーンズらしい企画をなにかしたい」と球団サイドが考えたとき、関係者の間で「一番インパクトの残るもの」として、挑発ポスターが最初に思い出されたという。
そういった経緯もあり、2013年の交流戦シーズンで5年ぶりに復活させた。「13年は久しぶりに復活させたこともあり、非常に大きな話題として取り扱っていただきました」。驚いたことに、2013年シーズンに阪神タイガースに移籍したかつての同僚・西岡剛選手を"狙い撃ち"したポスターも当時に作製している。
「阪神戦用のポスターは、かつてロッテに在籍していた西岡剛選手を意識したものにしましたが、もちろん本人に内容を事前に相談をするわけにはいきません。内容が過激すぎてもおとなしすぎてもダメというところで、ちょっとどっちつかずの内容になってしまったような気がします。そのため、今でも悔いが残ります」。
実際、西岡選手からは報道機関を通じて「カジ(梶原)さん、もっと挑発してもええのに。なにを気を使っているねん」とツッコまれてしまったという。
かつての「戦友」からの言葉に触発されたのか、今年の挑発ポスターは「最近人気の…なんだっけ…ほら、『惨劇の巨人』? 面白いよねぇ! 」(対読売巨人軍)、「煮てよし、焼いてよし、お刺身でもよし。鯉ってホントにおいしくて大好き! 」(対広島東洋カープ)と、"毒ガス"の吐きっぷりが一段とパワーアップしている。
千葉ロッテマリーンズは、挑発ポスターのほかにも、本拠地に実物大イングラムを設置したり、ファンとナインが一緒にアイドル・AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を踊り、その様子を動画にしてインターネット上にアップしたりするなど、常にファンを楽しませる企画を生み出してきた。
来年以降は一体どんな「挑発ポスター」が生まれるのか。野球ファンは首を長くして待つとしよう。