地域戦略という観点で見た場合、アジア太平洋地域では、どこがポイントになりますか?
デイビス デルでは、ビッグデータ、クラウド、モバイル、セキュリティといったトレンドに基づいた形で、継続的に、そして積極的な投資を行っていくことになります。ビッグデータに関しては、最強のアレイを提供し、自己管理機能であったり、拡張性であったり、コスト改善が可能になるといったメリットがあります。ファイルシステムの提供、ストレージの重複除外といった技術も、ここ数年の買収によって、デルの製品、サービスとして提供できるようになっていますし、オープンソースにも対応する環境が提案できる。また、SAPやマイクロソフトといったパートナーとの連携による提案も可能になっています。今後もこうしたところに力を入れたいですね。
また、プライベートクラウド市場に対しては、最強のサーバであるPowerEdgeを投入しており、エージェント管理による管理コストの削減、フレッシュエア対応により冷却コストも抑えられる設計となっています。ネットワークについてもForce10によってフラットなネットワーク環境を実現でき、イースト/ウエストのトラフィック管理によるパフォーマンスの向上といったことも可能になっています。そして、ストレージでは、EqualLogic、Compellentといった魅力的な製品を品揃えしています。
管理ツールにおいては、買収したゲイル・テクノロジーの製品により、さらに深い対応が可能になりました。いまや、デルにとっては、こうした総合的なソリューションを提供できることが、特徴になっているといえます。
また、デルはモビリティの領域にも積極的に取り組んでいます。ラップトップやタブレット、シンクライアントといったデバイスレベルでの強みだけでなく、資産管理、セキュリティ分野でも、きちっとしたソリューションを提供しているのが強みです。管理ソリューションのKACEや、買収したCredant Technologiesによる暗号化ソリューションなどがその一例です。また、SonicWALLによって、環境全体をセキュアにすることができます。
競合他社は、プロプラエタリー、レガシー資産を中心に展開しており、そこで、売り上げ、利益をあげています。プロプラエタリーのスイッチの上に、プロプラエタリーのOSを載せて、ストレージもプロプラエタリーとなっています。これに対して、デルは、オープンスタンダードにこだわってきました。守るべきレガシーというものがありませんから、顧客を無理に囲い込むということもしませんし、顧客の要望に対して柔軟に対応できるという仕組みが出来上がっているわけです。そして、これはイノベーションを促進することにもつながり、インフラコスト、ITコストを下げることができます。顧客は、その分を顧客自身のイノベーションに投資できるというわけです。
日本におけるエンタープライズビジネスのポイントはどこになりますか?
デイビス 日本のパートナーや顧客とお話しすると、もっと仮想化を促進したい、あるいはUNIXからLinuxに移行したいという声が多く聞かれます。このトレンドは昨年から見られていますが、これがますます加速しています。なぜ移行したいのか。それは古いレガシーなシステムのままではコストが高く、柔軟性が低いということを感じているからです。そのためオープンな環境に移行したいと考えているわけです。
こうしたなかにおいて、今後、日本において重要なのは、チャネルビジネスです。デルが、エンタープライズ領域において、END to ENDのソリューションを提供しようと考えると、チャネルパートナーの協力は不可欠です。デル1社ですべてのニーズに対応するのは現実的ではありません。今年はパートナーとのビジネスが加速させる1年。顧客にとっても、パートナーにとっても、デルにとってもメリットを生む関係を構築したいと考えています。
町田 デルは過去何年間に渡る買収によって、様々なIT要件に対応できる体制が整ってきました。これをきっちりと実らせることに力を注ぎたいと思っています。また、日本においても、「新しい当たり前」を作っていくことに引き続き力を入れます。デルがiSCSIを開始したときには全体の1%の構成比しかありませんでしたが、それがいまでは10%程度にまで拡大しています。デルがトレンドを作ったといえる事象のひとつです。そして、これからは、オールフラッシュの提案において、デルがトレンドを作ることになります。価格、性能のほか、バージョンアップでもコストがかからないという新たな提案によって、「新しい当たり前」を提案していきます。こうしたことを様々な角度からデルが提案し、日本の市場のなかで「新しい当たり前」を具現化していきたいですね。