制作現場の"手間"を軽減するAfter Effectsのアップデート
After Effectsは、アニメーションやVFXなどにおなじみのモーションエフェクトを制作するツールだが、その技術をPremiere Proで生かすにはどうすればいいか悩んだのだそう。そこで、以前はPremiere Pro側でモーション素材の修正が必要な場合はAfter Effectsで再制作する必要があったが、そうした手間を軽減する機能とすべく開発が行われた。
例えば、Premiere Proを使うエディターに変更させたくない部分があれば、After Effects側のテキストレイヤーをロックするだけでよい。双方のツール間でこうした設定がリアルタイムに行われることで、素材を共同で扱うことができるのだ。また再レンダリングも必要ないため、エディターがある程度修正した素材をAfter Effectsのプロが再加工するといった調整の往復もグッと楽になるという。こうした横断操作が簡単なのは、やはり各ツール間での連携が強化されているアドビ製品ならではなのだろう。
また、そのほかのアップデート機能として、After Effectsでなければ気づかないレベルの素材の不具合を修正する機能が追加される。例えば、グリーンバックで撮影した映像について、色こぼれによるノイズなど、ポスプロ段階に来て不具合に気づくことがある。そうした場合、これまでは素材から撮り直しとなっていたが、この新機能によって修正できるようになったのだ。そのためのツールが、色かぶり除去用のスピルサプレッションとノイズ除去用のキークリーナーだ。
画像処理の開発は進展を遂げており、静止画や平面グラフィックのみならず動画やWeb制作業界にも使われつつある。日本では特にバラエティ番組のバーチャルセットやアニメ番組に活用されていることが多く、アドビ側でもアニメ制作に特化した機能を発表する用意があるようだった。
最新技術に積極的な日本の市場とアドビ製品
グローバルなツールとして世界中で利用されているアドビ製品だが、その中でも日本のマーケットは重要な位置にあるという。映像業界が4~5%の成長率に留まる中、同社が過去3年間で2桁成長を実現できた理由を、スティーブ氏は「ユーザーに最も大事な機能を常に考え、追加してきたからこそ達成できたこと。テープによるリニア編集に適切に対応できることや、日本でのシェアが高いMAXONの3DCG制作ツール「CINEMA 4D」との連携を強めるなどの対応が評価されているのだと思う」と語った。
その言葉を引き継ぎ、日本のULTRA HDに対する要望を補完するSpeedGradeの色補正機能の強化も含め、ユーザーとの関係が何よりも重要だと考えているというムーニー氏は、「今後もお客さまからの要望、ULTRA HD用素材を扱う時のパフォーマンスの向上、Premiere Proを始め映像制作ツール間の連携強化、マルチフォーマットや各配信方法への対応などをテーマに開発を続けたい」とプレゼンテーションを締めくくった。