映像事業という点では、「ネットワークの規模が大きくなることで、コンテンツが最初にネットワークで登場するというのが最近の流れだ」と、コンテンツ資産を持つソニーにとってネットワーク基盤の強化が重要な意味を持つことを説明。米国でケーブルテレビ発ヒットを飛ばした「ブレイキング・バッド」を例に出して、「巨大なテレビネットワーク網を持たなくても、コンテンツが大きなアセット(資産)になり得る」とコンテンツビジネスの重要性を語った。
エレクトロニクス分野における注力事業としては、平井社長がコア事業と位置付けるモバイル、ゲーム、イメージングの3事業を挙げた。「これらは厳しい競争環境にあるが、特にイメージセンサーや電池は、イノベーションを起こし、他社にはないユニークな顧客価値を創造するための重要な要素となる」と、自社生産のCMOSセンサーやバッテリーに強みを持つソニーの優位をまず説明。
その上で、ゲーム&ネットワークサービス事業に関しては「映像サービスでストリーミングが隆盛する一方、ゲームでそれをやるにはイノベーションが必要だったがPlayStation Nowがそれを可能にする」と、新たなプラットフォームへの期待を示した。
また、スマートフォンなどのモバイル事業に関して「期初の販売計画は達成できなかったものの、売上50%増や黒字化を果たした」と、成長著しい分野における成功を強調。一方で「この分野においてはリスクをいかに抑えるかが大事」と、リスクマネジメントを重視しつつさらなる成長を目指す姿勢を示した。
デバイスでソニーを変える!
ミラーレス一眼タイプのレンズ交換式デジタルカメラ「α」シリーズや、大型CMOSセンサー搭載のコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット RX」シリーズが好評を博しているイメージング関連事業に関しては、まずCMOSイメージセンサーの自社生産の重要性を強調。ルネサス エレクトロニクスより譲受した鶴岡工場について、「(スマートフォンなどで)今後も需要の増加が見込まれる積層型CMOSイメージセンサーの増産拠点にする」と説明した。平井社長は「α」シリーズや「サイバーショット RX」シリーズなどが新しい顧客体験を提供する画期的な製品であることを説明しつつも、同社内にある「デバイスでソニーを変える」という言葉を引き合いに出し、デバイスを原動力としてソニー復活の狼煙を上げる機運が高まっていると述べた。
平井社長は最後に「自由闊達な社風や、他人がやらないことをやるというのはソニーの良いところだが、そのようなソニースピリッツを持ち続けつつ、変えるべきところは変える」と変革への意志を強調。その上で「それをやりきれば、お客様に感動を届けられるソニーの道が拓ける」と述べた。