北海道のローカル線、JR江差線木古内~江差間が、5月11日の営業運転を最後に廃止される。ラストランが迫る中、ゴールデンウィークを利用して同区間の普通列車に乗車。車内も沿線も多くの鉄道ファンでにぎわっていた。
吉堀~神明間で大粒の雨! 車体も大きく揺れて…
筆者はこの日、新青森駅発の特急「スーパー白鳥1号」で北海道へ。新中小国信号場付近で北海道新幹線の高架線が出現し、海峡線では新幹線用のレールが敷かれ、3線軌条となっている区間も。北海道新幹線新青森~新函館(仮)間開業に向け、準備が着々と進んでいることを感じさせた。
特急「スーパー白鳥1号」は11時44分、木古内駅に到着。ここで江差行の普通列車122Dに乗り換える。普段は1両で運転されると聞いていたが、廃止を前に利用者が増えているのだろう。4番線にはキハ40形3両編成が停車中で、車内の座席はほぼ埋まっていた。
普通列車122Dは11時48分に木古内駅を発車。電化された海峡線の線路から離れ、カーブを曲がると、すぐに北海道新幹線の真新しい高架線をくぐる。新幹線が開業するまで、ここのレールははがされることなく残っているだろうか? 付近の踏切には看板が立っていて、「この踏切は使用停止のため 列車は通りません」とブルーシート越しに読むことができた。次の渡島鶴岡駅では、ホームのそばにラストランを告げる看板が設置されていた。
この日の天気予報は、函館・江差ともに「晴れ」だったが、実際には木古内駅に到着したときから曇っていて、その後も天気は悪くなる一方。吉堀~神明間を走行中、ついに大粒の雨が降り出した。この区間は江差線で最も駅間距離が長く(営業キロ13.2km)、木古内町(渡島総合振興局)と上ノ国町(檜山振興局)を分ける稲穂峠があり、25パーミルの勾配が続く。江差線の中でも見所の多い区間とのことだが、雨中の走行だったこともあり、神明駅到着まで不安な気持ちにさせられた。車体が大きく揺れるたびに、もしかして脱線してしまうのでは……と、本気で心配になるほどだった。
「上ノ国(かみのくに)」という地名は、15世紀頃、北海道南部の日本海側を「上ノ国」、太平洋側を「下ノ国」と呼んだことに由来しているそう。その上ノ国町を流れるのが「天の川(あまのがわ)」で、江差線の列車も湯ノ岱~宮越間で2つの天の川橋りょうを渡る。「天ノ川駅」と呼ばれる江差線天の川モニュメントも設置され、5月10・11日には一般公開が行われる。「天ノ川駅見学(無料)シャトルバス」も運転されるとのことだ。