日常的な作業には十分なパワーとスタミナ

続いて、HP Omni 10の各種ベンチマーク結果を紹介しよう。今回は製品の標準状態ということで、画面のスケーリングが「150%」の状態でテストしている。まず、いわゆるWindowsエクスペリエンスインデックス、「Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)」を用いた計測結果は以下の通りだ。

■Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)の測定結果
プロセッサ 6.8
メモリ 5.5
グラフィックス 4.3
ゲーム用グラフィックス 4.1
プライマリハードディスク 6.6

グラフィックスとゲーム用グラフィックスのスコアが低いが、この2つはそれぞれデスクトップの描画性能やゲームプレイ時の3D描画性能を表わすものであるため、特に意識する必要はないだろう。メモリのスコアが「5.5」である点については、容量が2GBであることを考えれば納得できる。プロセッサとストレージのスコアが比較的高めで、さすがBay Trail-Tの上位版と言ったところ。実際にWindows 8.1を使ってみると、ときおり一瞬のもたつきはあったものの、全体的にはストレスなく利用できた。

「CrystalDiskMark」でのストレージベンチマークは、HDDよりは若干高速、最近のSSDよりはだいぶ遅いという印象だ。CPUの性能を計測する「CINEBENCH」は低めの結果となった。

「CrystalDiskMark」によるストレージのアクセス速度計測結果

「CINEBENCH」のベンチマーク結果

総合的なマシン性能を計測する「PCMark 8」と「PCMark Vantage」のベンチマーク結果は以下の通り。タブレット向けのAtomを搭載していることを考えれば、意外に高めとも言える結果だ。日常的な作業には十分なパフォーマンスを発揮できると考えていいだろう。ちなみに「PCMark 7」については、ベンチマーク中にエラーで強制終了してしまうため計測することができなかった。

「PCMark 8バージョン2(Home accelerated)」のベンチマーク結果

「PCMark Vantage」のベンチマーク結果

バッテリ駆動時間の計測には、「BBench」を使用した。Windows 8.1の電源プランを「バランス」に設定し、液晶ディスプレイの明るさを40%、ボリュームを50%に調整。「BBench」で10秒ごとのキー入力エミュレーションと、60秒ごとのWebアクセスを有効にした上でテストを実施した。

結果は、開始から9時間39分でバッテリ残量が5%となり、休止状態へ移行した。カタログ上では約8時間30分の駆動が可能とされているので、1時間以上長く駆動したことになる。液晶ディスプレイの明るさをさらに落としたり、ネットにアクセスしない時は無線LANをオフにするなどすれば、バッテリ駆動時間はもっと延びるだろう。スタミナについては十分な結果だ。

続いて、Windowsタブレットを購入する1つの動機となっている、Webブラウザゲームについて。まずは定番、Flashで動作する「艦隊これくしょん」をプレイしながらタスクマネージャーを確認したところ、通常時のCPU使用率が25%前後でメモリ使用率が47%前後、戦闘時のCPU使用率が50%前後でメモリ使用率が47%前後だった。プレイ自体はサクサクと進められるが、メモリの空き容量が少ないため、ほかのアプリを起動しながらのプレイは控えたほうがいいだろう。

「艦隊これくしょん」プレイ時のパフォーマンス
(c) since 1998 DMM All Rights Reserved.

もう1つ、「Unity Player」で動作する「大航海時代V」をプレイしてみたところ、通常時のCPU使用率が25%前後でメモリ使用率が70%前後、負荷が高い戦闘時のCPU使用率が60%前後でメモリ使用率が75%前後だった。プレイ画面の一部が3Dで表現されるためか、「艦隊これくしょん」より高い負荷がかかっているものの、ゲームだけを起動している状態ではストレスなくプレイできた。

「大航海時代V」プレイ時のパフォーマンス
(c)コーエーテクモゲームズ All rights reserved.

以上、いくつかのベンチマークを試してみたところ、多くのUltrabookよりは非力ではあるものの、Atom搭載タブレットとしては満足できるパフォーマンスだと分かった。ネット閲覧やメール、文書作成といった作業はもちろん、動画や2D系ゲーム、Windowsストアアプリなども十分に楽しめるはずだ。

コストパフォーマンスの高い10.1型タブレット

ここ最近は、持ち歩きに適した8型のWindows 8.1タブレットが人気だったが、じっくりと腰を落ち着けた情報収集や作業には、パワーがあって画面が大きいモデルのほうが適している。動画や写真、ゲームを楽しみたいならなおさらだろう。

そんな用途にこそ「HP Omni 10」をおすすめしたい。本格的な作業にもモバイル用途にも使える絶妙の製品バランスでありながら、8型タブレットとそれほど変わらない価格で購入できる。直販モデルにはオフィスが搭載されていないが、タブレットでの作業なら前述のオンライン版無料オフィスで足りるケースも多いはずだ。タブレットとしての機能・パワーともに十分で、いま一番の狙い目モデルと言ってもよいだろう。

製品名 HP Omni 10(HP Omni 10 5601TW)
OS Windows 8.1 32bit版
CPU Intel Atom Z3770(1.46GHz)
グラフィックス Intel HD Graphics(CPU内蔵)
メモリ DDR3 2GB
ストレージ 32GBフラッシュメモリ
ディスプレイ 10.1型ワイド(1,920×1200ドット)
Webカメラ フロント:約200万画素、リア:約800万画素
通信機能 IEEE802.11a/b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0
主なインタフェース microUSB、microHDMI、ヘッドホン端子、メモリカードスロット(microSD/SDHC対応)
センサー 加速度センサー、デジタルコンパス、周辺光センサー、ジャイロスコープ、磁気センサー
バッテリ駆動時間 約8.5時間
本体サイズ/重量 W260×D182×H9.9mm/約650g
直販価格 44,800円(税別)