基本的に片手でカメラを構えつつ、デュアルムービーで前方と自分を一緒に撮りつつ歩いていくのだが、意外とホールド感も悪くない。一眼レフではないのでがっしり握るのは難しいが、背面には小さな滑り止めがあって、ここに親指を引っ掛けることでグリップ力が高まるのだ。さらに斜めに傾いた軍艦部と、シャッターボタン、ムービーボタンの配置がよく考えられていて、片手だけでデュアル機能の切り替えも含め問題なく操作できる。機動力が重要なこの手のカメラで片手で操作しやすいのはありがたい。
使っていて特に気に入ったのが、ズームのスピードだ。普段はコンパクトデジカメを使わないので一般的にどうなのかはわからないが、このPowerShot N100は静止画と動画でズームのスピードが異なるのだ。
具体的にいうと、静止画撮影では素早くズームし、動画撮影時にはゆっくりと一定のスピードでズームしてくれる。この一定のスピードというところがミソで、適当にズームしても、テレビのような安定感のあるズーム映像に仕上がるのだ。
さらに手ブレ補正の効きも抜群で、撮っている最中に「これは手ブレがひどいだろうな」と思った動画が、後で確認すると思ったほどブレていなかった。筆者の右腕に手ブレ補正の神が宿ったのでなければ、これはPowerShot N100の強力な手ブレ補正機能のおかげだろう。
もう一つ、撮っているときに不安だったのが、音声がどれだけ録れているのかということ。この日はイベントということで周囲の音も大きく、軍艦部の小さなマイクだけで、果たしてどれくらい自分の声がクリアに録音できているのか不安だった。だが、帰宅して確認してみると、まったく問題なく自分の声が入っていた。このあたりは実際に完成した動画でお聞きいただければと思う。
意外に役立ったのが、90度可動するチルト式液晶パネル。公式サイトによると子どもの目線から写すというのが、主に想定される撮影方法らしいが、動画撮影時にこれを使うと、腰の高さにカメラを持って撮影することが可能になるのだ。デュアルムービーで自分撮りをしていると、どうしても目線の高さからしか撮影することができないが、これを使うとアングルがかなり自由になるため、動画のちょっとしたアクセントにはピッタリなのだ。
実際に使ってみて感じたが、PowerShot N100は事前の予想以上にYouTuberにピッタリのカメラである。デュアルムービーがあれば、もう腕を伸ばしての自撮りをしなくてもいいし、ワイプを使ったテレビ番組のような動画を簡単に撮ることができる。何よりコンパクトで画質が良いのが最高だ。
YouTuberにとっては、特にイベントなどをレポートするときのマストアイテムになるんじゃないだろうか。
最後に、実際に撮った動画をご覧いただこう。PowerShot N100のおかげで何とか形にはなったが、レポート動画としては散々な内容になってしまった。表情も硬いし、うまいコメントも思い浮かばない。いやはや、YouTuberへの道のりは、思った以上に険しそうである。
「PowerShot N100」スペック
[撮像素子]有効約1,210万画素・1/1.7型CMOSセンサー [焦点距離]24~120mm(35mmフィルム換算時) [光学ズーム]5倍 [開放F値]F1.8~F5.7 [対応感度]ISO80~ISO6400 [モニター]約92.2万ドット・3型液晶(タッチパネル方式) [記録メディア]SD/SDHC/SDXCメモリーカード [バッテリー]リチウムイオン充電池(CIPA準拠の撮影可能枚数は約330枚) [サイズ]W104.5×D35.8×H67.5mm [重量]本体のみで約252g、バッテリーとメモリーカードを含む状態で約289g