メモリの設定情報はすべてJEDECで記録

それでは「HyperX FURY」の動作を、Windows8.1上で検証することにしよう。まずはGIGABYTEのマザーボードで利用できるツール「EasyTune6」とPC内のデバイス情報を表示する「CPU-Z」で、「HyperX FURY」のメモリ情報を確認。メモリクロックやタイミングはすべて標準規格である「JEDEC」の値として記録されており、「AMP」や「XMP」の設定値は存在しない。最高で1209MHzまでの設定が書き込まれているため、システムが正式対応したり、動作保証外にはなるが手動で設定を調整したりすれば、さらに高いメモリクロックで動作させることもできそうだ。

HX318C10FRK2/8のメモリ情報。さまざまなメモリ設定が書き込まれている

周波数1866MHzでの動作状況。なおDDR3メモリのため、周波数は実際の数値の半分(933MHz前後)で表示されている

手動で設定を変え、周波数1600MHzで動作させた状況。メモリのアクセスタイミングが若干速くなっている

1600MHzと1866MHzの差をベンチマークで確認

それでは、ベンチマークテストでメモリの速度向上がシステムに与える影響を見ていこう。検証は「HX318C10FRK2/8」を1866MHz動作した場合と、手動設定で1600MHz動作とした場合で行った。まずは、OS上で大まかな動作を確認するために「Windows エクスペリエンス インデックススコア」を確認。Windows8.1ではコントロールパネルからスコアを直接確認できなくなったため、 Windows システム評価ツール「WinSAT formal」にて計測。1866MHz動作では、プロセッサ、メモリ、グラフィックスと、ほぼ全体にわたってスコアが向上している。メモリがAMD環境に与える影響がここまで大きいとなると、他のベンチマークテストの結果も楽しみだ。

■ Windows エクスペリエンス インデックス スコア
DDR3-1600 DDR3-1866
プロセッサ 7.4 7.6
メモリ(RAM) 7.4 7.6
グラフィックス 5.9 6.0
ゲーム用グラフィックス 5.9 6.0
プライマリディスク 6.8 6.8

続いて3Dゲーム用のベンチマークから、グラフィックスに与える影響を確認しよう。使用したベンチマークは、Futuremarkの「3DMARK」と、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」だ。両ベンチマークとも、全体的なスコアの向上が見て取れる。特にファイナルファンタジーXIVのベンチマークでははっきりとした差が表れており、ゲームをプレイするうえでの快適度も確実に向上させてくれるだろう。

■ Futuremark 3DMARK 「Fire Strike1.1」
DDR3-1600 DDR3-1866
3DMark Score 987 3DMarks 1048 3DMarks
Graphics Score 1061 1121
Physics Score 4699 4704
Combined Score 365 395
Graphics Test 1 4.99 fps 5.22 fps
Graphics Test 2 4.29 fps 4.58 fps
Physics Test 14.92 fps 14.93 fps
Combined Test 1.7 fps 1.84 fps

ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編

■ ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
DDR3-1600 DDR3-1866
1280×720 標準品質(デスクトップPC) 5722 6211
1280×720 高品質(デスクトップPC) 2957 3262
1920×1080 標準品質(デスクトップPC) 3050 3344
1920×1080 高品質(デスクトップPC) 1523 1677

なお、今回はAMD環境にて検証を行ったが、Intel環境においても同様に自動で1866MHzに設定されることが確認できた。Intel製のCPUとマザーボードでシステムを構築している方も、プラグアンドプレイによる自動メモリ設定によって簡単にオーバークロックメモリを使用可能だ。

IntelのCore i5とZ77 Expressチップセット環境でもAMD環境同様、メモリを挿すと自動で1866MHzに設定された

システム全体の処理速度を向上させるKingstonメモリ

メモリの動作クロックは、CPUやグラフィックスカード、ストレージと比べるとなかなか体感しにくい。特定の処理能力が著しく向上するものではないからだ。しかし今回ベンチマーク等で確認したとおり、システム全体の速度を確実に向上させており、特にCPU内蔵のグラフィックス機能を利用した場合は、ゲームなどにおいてもその効果を実感できる。ハイスペックPCを所有している方が更なる性能向上を目指す場合はもちろんのこと、グラフィックスカードを追加しないエントリークラスの構成を考えている人も、メモリの速度に注目してほしい。Kingstonの「HyperX FURY」シリーズなら、設定の知識や手間なしにシステム全体の処理速度を引き上げてくれるだろう。

■ Kingston メモリ詳細スペック
型番 HX318C10FRK2/8 HX318C10FK2/8
容量 8GB (4GB×2)
PnP JEDEC TIMING JEDEC: DDR3-1866 CL10-11-10 @1.5V
JEDEC: DDR3-1600 CL9-10-9 @1.5V
JEDEC: DDR3-1333 CL8-9-8 @1.5V
■ 検証機詳細スペック
CPU AMD A10-6850K (4.1GHz)
チップセット AMD A85X (GIGABYTE GA-F2A85X-UP4)
内蔵グラフィックス Radeon HD 8760D
ストレージ SSD 128GB (東芝 THNS128GG4BBAA)
OS Windows 8.1 (64bit)