日本AMDはこのほど、東京・秋葉原のUDX GALLERY Type Sで開催した。ソケット版Kabiniこと「Athlon」「Sempron」ブランドAPUの解説に加え、それらを搭載するAM1プラットフォームの紹介などが行われた。
バリュー市場をターゲットとした「Athlon」と「Sempron」
日本AMDの森本竜英氏 |
「Athlon」と「Sempron」はいずれも"Kabini"の開発コード名で知られるAPUをベースとした製品で、「Jaguar」アーキテクチャをベースとしたCPUコアと、「Graphics Core Next」(GCN)ベースのGPUコア、そしてチップセットを統合したSoC(System on Chip)となっている。
日本AMDの森本竜英氏は、CPUとGPUともに従来世代の製品から大きく性能が向上したほか、DDR3-1600対応メモリのサポートや各種の拡張ポートを備えることで、競合製品に対して優位性を確保しているとアピールする。
また、森本氏によると、インドや南米といった新興国を中心に、「ローコスト」かつ「場所を選ばないデスクトップデバイス」を実現するプラットフォームとしてSoCが重要とされているという。
しかし、従来のSoCは基本的コンピューティングパワーが不足しているうえ、BGAパッケージでスペックがほぼ固定されているので、アップグレードも難しかった。また対応OSも限られており、運用にも制限があったという。
そこで低価格ながらパフォーマンスに優れた"Kabini"をソケットタイプのAPUとし、さらにアップグレード可能な環境を提供することで、SoCが重要とされるバリュー市場を獲得したいという狙いがある。
森本氏が「AMDの強い時代を象徴するブランド」という「Athlon」と「Sempron」という2つのブランドを再び立ち上げることで、一気に攻勢をかける。
ゲーミングに取り組むAMD
AMDのISVゲーミングおよびアライアンス担当ディレクター リッチ・コーパス(Ritche Corpus)氏 |
今回のイベントはスクウェア・エニックスとの共同開催のため、"Kabiniで「ドラゴンクエストX」を動作させるデモが数多く展示されていた。"Kabini"のJaguar + GCNという構成は、PlayStation4やXbox Oneといった最新の据え置きゲーム機でも採用されており、ゲーミングという観点からも"Kabiniをアピールしたい考えだ。
AMDのISVゲーミングおよびアライアンス担当ディレクターであるリッチ・コーパス(Ritche Corpus)氏から、同社のゲームに対する取り組みが紹介された。
AMDでは「Gaming Evolved」というゲーム開発支援プログラムを実施しており、髪の毛の動きをリアルに表現する「TressFX」や、グラフィックスAPI「Mantle」、CPUへの不可を抑えつつ豊かな音響処理を行う「True Audio」といった新たな技術の提供がその1つだ。AMDのエンジニアがゲームデベロッパーの意見を聞きながら、あるいはデベロッパーと協力しつつ開発を行っているという。
例えばスクウェア・エニックスが販売するアクションゲーム「Tomb Raider」では、「TressFX」やマルチディスプレイへの出力を行う「Eyefinity」といった技術を提供する。また、同じくスクウェア・エニックスの「Thief」では「Mantle」と「True Audio」への対応版がリリースされている。
このほか、OpenGLやOpenCL、DirectXなど業界標準規格へのコミットメントに加え、AMDのエンジニアが開発会社に対してコンサルティングやゲームプログラムの最適化を行うなどゲーム開発を支援している。
また、AMDではマーケティングのサポートとしてゲームバンドルキャンペーンも積極的に実施している。このキャンペーンは「Never Settle Forever」という名称で、AMD製GPUを搭載したグラフィックスカードにゲームがバンドルされるというもの。製品のクラスに合わせて、「Bronze」「Silver」「Gold」という3つのグレードが用意されており、上のグレードになるほどダウンロードの際に選べるゲームが増えるという。
AMDは日本国内でも積極的なバンドルキャンペーンが行っているが、「Never Settle」自体は展開していない。「Never Settle Forever」の最新情報は順次公開していくとしている。