そしてお待ちかね、「ふれあいゾーン」に突入する。ふれあいは基本的に4種類、「オオグソクムシ」「ヤマトトックリウミグモ」「タカアシガニ」「ナヌカザメ」がランダムで登場する。各日4回、定員制で行われるのだが、せっかく来たからにはぜひ参加したいところ。

通常は「ふれあい」用の容器に入れられているが、このときは準備中ということもあり、大きい水槽にまとめて入れられていた。係員の方は素手だが、一般の来場者はビニール手袋をしてふれあう。

このプールにキャストがスタンバイしている

オオグソクムシが泳ぐ速度は早い

持ち方のコツは全体を包みこむようにやさしく包むこと

オオグソクムシは日本最大の等脚類で、ダンゴムシやフナムシの仲間。多くの場合腹を上にして泳ぐが、下腹部の細かいエラのおかげか、かなり速い。係員の方の助けをかりて背中側からそっと包むように持つと、すわりが悪いのか猛然と足やひれをバタつかせ、身をくねらせて逃げようとした。その振動は激しく、ぎゅっと持っていないとすぐに水に逃げられてしまうが、強く持ちすぎても弱らせてしまうため試行錯誤。

「イヤー!!!」とでも言いたげなバタつき

「この持ち方なら許そう」という態度

しかし。あるポジションにはまるとピタッと動きが止み、まるでリラックスしたかのように手のひらで静止した。「あ、心が通じた……」とオオグソクムシと以心伝心できたような感覚におちいったものの、見た目はどう見ても「ダンゴムシのおおきいやつ」なので、想いが伝わったかどうかは怪しい。

係員の方によると食用にもなるが、可食部は体の大きさの割には少なく、エビやカニに似た味がするという。

水槽には他に3m以上に成長する「タカアシガニ」と成長すると1mを超えることもあるという「ナヌカザメ」、「ヤマトトックリウミグモ」などがいた。カニは食卓でなじみがあるため、表皮などは見慣れた感覚だが、さすがにタカアシガニはサイズが大きく迫力がある。ヤマトトックリウミグモは手に載せた感覚が無いほど軽かった。

「タカアシガニ」

「ナヌカザメ」

「ヤマトトックリウミグモ」腹側

生体の展示には、実績のあるノウハウと技術が活かされていた

今回の展示で苦労した点について、生体の納入・管理を手がける「ブルーコーナー」の平松健次氏に話をうかがった。

「深海生物は基本的に深く暗い海の生き物なので、明るいところに連れてくるとショックとストレスで死んでしまいます。また、移動して持ってくる際に環境の変化が生じ、それもストレスとなって生存率が下がってしまいます。そこを、時間や手間をかけ、沼津港深海水族館で培ったライティング、水温や水流のノウハウをふんだんに使って、『お客様に見ていただける状態』と『生体のバランス』ぎりぎりのところを計算して展示をつくっています」(平松氏)

沼津港深海水族館は深海生物のおさわりイベントや冷凍シーラカンスの展示などで話題になっている一方、展示でコラボレーションするのは初めてという。深海生物はデリケートで取り扱いが難しい。玉川高島屋ショッピングセンターの新しい企画にチャレンジし、実現したのは同水族館の知識や経験によるところがとても大きいのだという。

最後に待ち受ける売店でも楽しみが……

ふれあいゾーンを抜けると、この展覧会用に特注されたオオグソクムシとメンダコの型を使った「深海フィギュアづくり」(参加費500円・定員制)用のワークショップスペースと物販コーナーがある。物販コーナーでは展示もされていた透明な樹脂標本のミニサイズ(2,000円・税別)や人気商品というぬいぐるみ「ダイオウグソクムシ Mサイズ」(1,500円)、「メンダコ Mサイズ」(1,800円・税別)も販売されている。中でも「ダイオウグソクムシiPhoneケース」(2,800円・税別)はファンにはたまらない一品かもしれない。シアターゾーンで上映していた映像作品のDVDもここで販売している。

「ダイオウグソクムシ Mサイズ」(1,500円)、「メンダコ Mサイズ」(1,800円・税別)

「ダイオウグソクムシiPhoneケース」(2,800円・税別)

入場料は大人600円、小人400円(3歳~小学生)で開催時間は10時から20時(最終日は18時まで)。「深海生物に触れる体験」は各日4回(11時、13時、15時、17時)、「深海生物のフィギュア作り」(500円)は各日7回(10時30分、11時30分、13時、14時、15時30分、16時30分、17時30分)、定員制で行われる。入り口でスタンプシート(200円)を購入すると、プレゼントがもらえるS・C館内でのスタンプラリーに参加できる。ゴールデンウィーク期間に足を運んでショッピングと深海生物を楽しんでみてはいかがだろうか。

スタンプラリーの景品。たたくと光るうえに、足の手触りがよいのでおすすめ