玉川高島屋ショッピングセンター(東京・二子玉川)は4月23日~5月6日、深海生物に直にさわれる体験型の展示会「たまがわ深海大図鑑展」を開催している。22日にはプレス向けの内覧会が行われたので、「ニコタマ出たら5分でオオグソクムシ」という展示会に早速行ってみた。
2013年1月に公開された世界初撮影の「泳ぐダイオウイカ」で一気にスポットライトを浴びた「深海の世界」。今年に入ってダイオウイカが何杯も捕獲されたり、リュウグウノツカイなどの深海魚がとれると地震との因果関係が取りざたされたり、深海生物への興味、関心は高まりを迎えている。
そういった情勢を受け今回企画された同展示会は、ショッピングセンターでデリケートな深海生物を「展示」し、「ふれあい」ができるという挑戦的な試み。協力したのは日本で唯一、冷凍のシーラカンスの展示を行っている「沼津港深海水族館」(静岡県沼津市)の館長、石垣幸二氏だというのだから、その期待も高まるというもの。展示内容を見ていこう。
深海生物の宝庫、駿河湾を感じてほしい!
沼津港深海水族館は日本一深い湾である「駿河湾」(最深部2,500m)にあり、今回展示されている深海生物の多くもそこからやってきたという。会場に入ってまず展示されているのは自立型無人探査船「ゆめいるか」と有人潜水調査船の「しんかい6500」のレプリカ。深海探査がどう行われているかが「ジャムステック」(独立行政法人海洋研究開発機構)協力のもと、展示されている。
次に現れるのは「深海図鑑ゾーン」。深海生物を樹脂で固めた透明感あふれる樹脂標本、骨格や内部の構造が観察できる透明標本、薬液に浸かった「ダイオウグソクムシ」や深海のアイドル「メンダコ」の標本などが並ぶ。
薄暗い中で深海生物の神秘的な姿を観察
「深海シアターゾーン」では、ジャムステックが深海探査の過程で撮影した貴重な深海世界の映像作品を上映している。登場する生物は80種類以上。向かい側には「アンコウ」や「ヌタウナギ」の表皮をさわることができる標本を展示している。
その隣には水槽で実際に深海生物を観察できる「生体ゾーン」がある。水温は低めの16度に保たれ、明かりも生体を気遣って控えめになっている。展示されている「ヌタウナギ」は目が退化し、埋没した代わりにえさの少ない深海で生き残るために嗅覚が進化した。韓国では食用にもされており、口ひげと刺激を受けると出てくるヒアルロン酸が多く含まれる粘液が特徴。「ヤマトトックリウミグモ」は深海の圧力に対応するため胴体がつまようじほどの細さに進化しており、入りきらない内臓が足部分にまでが入っているという。
水槽の向かいには、世界に2つしかない「ダイオウイカの魚拓」が展示されている。その次は「深海写真ゾーン」。ジャムステックの研究者、藤原義弘氏が撮影した深海の美しい写真パネルが並んでいる。
次ページではいよいよ「ふれあいゾーン」へと突入する。