2010年に初代が発売されたGreenFanは、「グリーンファンテクノロジー」と呼ばれる、内周と外周で間隔などが異なる2種類の羽根が搭載されており、これが自然界と同じような心地よい風を生み出す。風がいったん壁に跳ね返ると穏やかな風に変わる原理から着想を得て、送風効率の異なる内側と外側の異なる風を作り出し、2種類の風が一点に集まったところで、風のエネルギーと量を拡散させ、遠くへ届けるという。ただ風を巻き起こすだけの従来の扇風機とは全く異なる発想の商品として、大きな反響を呼んだ。
【左】GreenFanの独自の二重羽根構造 【右】内外の二種類の羽根がそれぞれ別の性質を持つ風を引き起こす |
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【左】二種類の風が中央で重なり合い、一点に集中 【右】ぶつかった風はより大きく、穏やかな風となり直進する |
また、扇風機に初めてDCモーターを搭載した点も画期的だった。それまでの扇風機で一般的だったACモーターから変更することで、消費電力が約20分の1に劇的に低下。最弱運転で1日8時間連続運転し続けた場合でも、ひと夏(約90日)でたったの約24円の電気代という計算になる。
さらに、高い静音性能にも評価が集まる。最小運転時の動作音は13dBで、蝶2羽の羽ばたきと同レベルとのことだ。最大運転時は45dBで、一般的な扇風機に比べると圧倒的に小さい音量である。
この扇風機は最終形だ
発表会でプレゼンテーションを行った、同社代表取締役社長の寺尾玄氏は「2010年のGreenFanの発売以来、扇風機のことを考えなかった日は1日もなかった。技術面からデザイン、ソフト面まですべて勉強して、今の日本で最も扇風機に詳しいのは私ではないかと思っている。そんな私にとってもこの扇風機は最終形だ。最近の家電メーカーは半年から1年のサイクルで新製品を発売する流れがあるが、この商品は何年も使っていただけるような商品にした」と強い自信と、販売にかける意気込みを語った。
発表会後半には、デザインジャーナリストの川上典季子氏を司会に、カー&プロダクトデザイナーの和田智氏とのトークセッションが行われた。ドイツの高級車・アウディのシンボル的デザイン「シングルフレームグリル」を手掛けたことで知られる世界的デザイナーである井上氏は、自身ならではの視点でバルミューダ、および同社製品に対する独自の評価を披露した。
【左】GreenFan Japanの風の届く距離を不織布を使って実演。同社の公式数値としては15mだが、寺尾氏によるとその理由はまだ解明できていないという 【右】デザインに造詣が深い3者による、デザイン談義。「デザインとは"物としての自然さ"も大事」といった専門家ならではの厳しい意見もあった |
和田氏は「新しいものを追っても、もう追いつかない。そうであるならば、原点にこだわるべき。デザインの神髄は、新しさを求めるのではなく、本来の姿を決して歪めることなく、いかに美しい姿にすることか。GreenFanは正にそうだと思う」と、GreenFanの意義についてコメント。「これだけの革新的な家電を次々と生み出してきた寺尾氏は、松下幸之助や盛田昭夫氏といった名だたる大企業の創業者となるような気質を十分に備えた存在。これからの日本を変えていくような力のある人だと感じる」と称賛した。
GreenFan Japanの希望小売価格は35,000円(税別)。同社オンラインストアをはじめ、家電量販店などで予約が開始され、5月1日に発売される。