フリーゲージトレインの新試験車両については、鉄道・運輸機構鉄道建設本部の加藤順氏も言及。4両編成としたことについて、「これまでの3両編成だと、走行に必要な機器を収めるために1両あたりの重量が重くなっていたので、これを分散したい。そして実際の営業用車両により近づけたい」と理由を説明した。新試験車両のカラーについて、「九州を走るということで、火の国といわれた九州のイメージに合わせました」と語った。
「時速270kmをしっかり検証することが最優先」
質疑応答では、「山陽新幹線への乗入れが困難な理由に重量と速度が挙げられていたが、(新試験車両は)速度の問題がクリアされていない。今後、時速270km以上出せる車両を開発することはあるのか?」と報道陣から質問も。
これに岸谷氏は、「整備新幹線の最高速度は時速260kmで、これまでの技術開発の経過などを踏まえ、新試験車両では時速270kmを新幹線区間の最高速度としました。まずはこの時速270kmをしっかり検証することが最優先かと思います」と回答。乗入れに関しては、「開業までにJR関係者間で決めていただくことになるものと考えています」とコメントした。
新試験車両の開発費用は約43億円。製造メーカーは1・3・4号車が川崎重工、2号車が日立製作所。4両編成のうち、2号車に44名分の座席が配置される。車両は鉄道・運輸機構が保有し、維持管理はJR九州に委託する。
同車両は今後、約3年かけて性能確認試験(試験車両の安全性と走行性能の確認、線路などへの影響確認のための試験)と耐久走行試験(部品や軌道の摩耗およびこれにともなう走行状態などのデータ収集のための試験)を行う予定とされている。
フリーゲージトレインの走行試験スケジュール(予定)
試験内容 | 試験期間 | 走行区間 | 速度 | 頻度 | 走行時間帯 |
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性能確認試験 | 2014年4月20日から5月上旬 | 九州新幹線熊本~新八代間 | 時速120km以下 | 週2~3日程度。1日1~2往復 | 午前0~5時頃 |
2014年5月中旬から7月中旬および9月上旬 | 鹿児島本線熊本~八代間、新八代接続線 | 時速130km以下 | |||
2014年7月下旬から9月上旬 | 九州新幹線熊本~鹿児島中央間、新八代接続線 | 時速270km以下 | |||
2014年10月上旬から中旬 | 九州新幹線熊本~鹿児島中央間、新八代接続線、鹿児島本線熊本~八代間 | 新幹線は時速260km以下、在来線は時速130km以下 | |||
耐久走行試験 | 2014年10月下旬から2017年3月頃 | 新幹線は時速260km以下、在来線は時速130km以下、新八代接続線は時速50km以下 | 月20日程度。新幹線は1日3往復程度、在来線は1日最大14往復程度 | 新幹線は6~24時、在来線・新八代接続線は終日 |