DirectX 12が登場する2015年以降もMantleのサポートは継続する
続いて、Robison氏は同社が開発するグラフィックスAPI「Mantle」に話を向けた。Mantleについてもマイナビニュースでは解説やレビューを行ってきたので、Mantleそのものについての詳細は下記の記事を参照してほしい。
■「Mantle」の発表記事はこちら
【レポート】AMD GPU14レポート - AMDが語る2014年のGPU戦略、「Project MANTLE」の概要を初公開
■「Mantle」のレビュー記事はこちら
【レビュー】"Mantle"のパフォーマンスを確認する - 対応ゲームでどれほどの性能向上がみられるのか?
こちらも簡単におさらいしてしまえば、Direct3Dに起因するボトルネックを解消し、GPUを効率よく駆動させるためのAPIである。EA/DICEの「Battlefield 4」ではMantleを利用することでDirectX 11と比べて最大40%のパフォーマンス向上が見込めるという。またEidosの「Thief」も3月にMantle対応版をリリースした。
さて、グラフィックスAPIといえば、米MicrosoftがGame Developers Conference(GDC)2014において「DirectX 12」を発表したばかりだ。AMDではMicrosoftの発表に合わせて、同社のGCNアーキテクチャをDirectX 12に対応させることを発表している。Robison氏も「MicrosoftがやっとDirectX 12を発表してくれてうれしい。DirectX 12の開発にあたって、AMDとMicrosoftは緊密に協力している」という。
DirectX 12ではオーバーヘッドを削減し、よりGPUの性能を引き出すとされているが、Mantleと重なる部分が非常に多い。Robison氏は「Mantleの成功がDirectX 12に影響を与えている。いくつかの特徴はMantleと同一だが、これは(これまで発生していた問題点を解消するという点で)業界全体が享受すべきいいことだ」と、MantleとDirectX 12の相似を認める。
DirectX 12は2015年の年末にリリースされる予定だが、その際にDirectX 12とMantleの関係はどうなるのか。Robison氏は「MantleはDirectX 12のリリース以降も開発を継続する」と明言する。これはMantleを利用するパートナーとの約束にもなっているという。DirectX 12のリリース後は、MantleとDirectX 12の両方をサポートしていくようだ。
一方で、Robison氏によると、Mantleでは先行しているアドバンテージを利用して、さらなる機能追加も予定しているという。現在、MantleのLinux対応を検討しているとのことだ。対応OSの拡大や機能追加によって、DirectX 12に対して優位性を確保したいという狙いがあると思われる。
質疑応答ではコンシューマーゲーム機におけるMantleの状況についても明かされた。据え置き型ゲーム機「PlayStation 4」と「Xbox One」にAMD製APUが採用されていることはよく知られているが、Robison氏は「われわれはPlayStation 4やXbox Oneの両方に対してMantleを提供する用意がある。ただ、Mantleを使うかどうかはソニー・コンピュータエンタテインメントやMicrosoftの選択次第だ」と述べた。