Markdown記法でメールを作成・送信

メールには、プレーンテキストとHTML形式で送る2つの方法がある。プレーンテキストでは、装飾などはいっさいできない。その分、どんな環境でも表示させることができる。一方、HTML形式では、図を入れたり、Webページと同じレベルの表現が可能になる。しかし、タグをそれなりに挿入する必要がある。HTMLの場合は、開始と終了のタグを正しく入れる必要がある。そこで、Webページ作成ソフトなどを使い、自動的にタグを入れるようにすることはよくある。

HTMLなどをマークアップ言語といい、数式が組めるTeXなどもその1つである。さて、今回紹介するMarkdown記法は、簡単な入力を実現した軽量のマークアップ言語といえる。開発のコンセプトは、読み書きしやすいプレーンテキストで記述し、それを適切なHTMLに変換することを目的としている。具体例から紹介する方がわかりやすいであろう。まずは、見出しである。

# 見出し h1
## 見出し h2
###### 見出し h6

とすると、以下のHTMLに変換される。

<h1>見出し h1</h1>
<h2>見出し h2</h2>
<h6>見出し h6</h6>

段落は、1行以上の空行で囲む。

あいうえお

かきくけこ
さしすせそ
たちつてと

とすると、以下のHTMLに変換される。

<p>あいうえお</p>

<p>かきくけこさしすせそたちつてと</p>

文字の強調を行うには、*か_で囲む(イタリックになる)。前後に空白が必要。2つにすると太字になる。

文字を *強調* します。 _イタリック_ になります。
文字を **強調** します。 __太字__ になります。

とすると、以下のHTMLに変換される。

<p>文字を <em>強調</em> します。 <em>イタリック</em> になります。</p>
<p>文字を <strong>強調</strong> します。 <strong>太字<strong> になります。<p>

リストは、*、-、+を文頭に入れ、スペースかタブを挿入する。

* あいうえお
* かきくけこ
* さしすせそ
  - abcd
  - efgh
+ たちつてと

とすると、以下のHTMLに変換される。

<ul>
  <li>あいうえお</li>
  <li>かきくけこ</li>
  <li>さしすせそ
    <ul>
      <li>abcd</li>
      <li>efgh</li>
    </ul>
  </li>
  <li>たちつてと</li>
</ul>

文頭に「数字.」を入れると、順序リストになる。

1. あいおうえ
2. かきくけこ
3. さしすせそ

とすると、以下のHTMLに変換される。

<ol>
  <li>あいうえお</li>
  <li>かきくけこ</li>
  <li>さしすせそ</li>
</ol>

これら以外にも、コードの挿入、罫線、リンク、引用、画像埋め込み、表組み、数式などをサポートする(これらは、実際にレンダリングされた状態で見たほうがわかりやすい)。Markdown記法の雰囲気をわかってもらえたであろうか。まず、ほとんど終了タグがないことに注目したい。これがないことで、文法上のしばりがかなりゆるくなる。できることは決して多くはないが、メールでの表現と考えれば、十分であろう。

では、Markdown Hereアドオンをインストールしてみよう。アドオンマネージャを起動し、「Markdown Here」で検索する。この例では、最初に見つかった。

図4 「Markdown Here」で検索

[インストール]をクリックする。再起動で、Markdown Hereアドオンが有効になる。再起動すると、Markdown Hereアドオンの設定がタブに表示される(図5)。

図5 Markdown Hereアドオンの設定

画面をスクロールして、プレビューとTeXでの数式記述サポートあたりを表示させる。TeXでの数式記述サポートにチェックを入れる(図6)。

図6 TeXでの数式記述サポートを有効に

ここで、その上にあるプレビューの[Markdownを有効化/無効化]をクリックする。すると、ボックス内に記述されたMarkdown記法の内容が、レンダリングされて表示される(図7)。

図7 Markdownを実際に表示

これでは、少し見づらいので、Firefoxで表示したのが図8である(この方法は、後述する)。

図8 Firefoxで表示

では、実際にMarkdown記法でメールを作成してみよう。その前に確認であるが、アカウントの設定で、[編集とアドレス入力]で[HTML形式でメッセージを編集する]にチェックが入っているかを確認しておく(デフォルトでは有効になっているが、テキストモードにしていることもありうる)。

図9 [HTML形式でメッセージを編集する]にチェックが入っているかを確認

メッセージ作成ウィンドウを開くと、Markdown Hereアドオンのボタンが追加されている(図10)。

図10 Markdown Hereアドオンのボタンが追加

あとは、メッセージを自由に作成する(図11)。

図11 メッセージを作成

Markdownでレンダリングするには、図10のボタンをクリックするか、メッセージ部分で右クリックで表示されるコンテキストメニューから、[Markdownを有効化/無効化]を選ぶ(図12)。

図12 コンテキストメニュー

自分の望む結果が得られていなければ、再度、同じ操作を行う。すると、テキストが表示されるようになる。こうして、調整していけばよい。

先ほどのHTMLファイルの保存であるが、まず、Markdownでレンダリング表示した状態にする。ここで[ファイル]メニューから、[選択して保存]→[ファイル]を選択する(図13)。

図13 [選択して保存]→[ファイル]

ファイル保存ダイアログが表示されるが、[ファイルの種類]がHTMLファイルになっている(図14)。

図14 ファイル保存

適切なファイル名で保存しよう。こうして保存すれば、FirefoxなどのWebブラウザでも確認ができるようになる。

Markdown記法は、軽量マークアップ言語に分類される。軽量であるがゆえに、かえってめんどうではないといえる。表組みなどは、少し入力に手間が必要であるが、直観的でわかりやすい。HTMLメール以外にも、GitHubのREADMEやTumblrなどでも使われている。Thuderbirdで、簡単に試すことができるので、トライしてみてはいかがだろうか。