さて、今回のLINE KIDS 動画のローンチだが、最大の目的はもちろん「子どもを違法コンテンツから保護する」ことだろう。LINEはすでに国内ではインフラと呼べる規模にまで膨れ上がっており、LINEを媒介にして未成年を狙う犯罪なども増加している。これを防ぐ姿勢を見せなければ、特にシニア層にとってLINEはいつまでたっても「得体のしれない危ない場所」のままだからだ。

そして、もうひとつの狙いは、クローズドなコミュニケーションの促進である。おそらく、当面はユーザーの多くが無料で視聴できる「タイマープラン」を使うだろう。この場合、LINEには1円も入らないが、その代わり、ユーザー同士がLINE上で「タイマー」をプレゼントしあう「コミュニケーション」が発生する。ゲームやモールなど様々な分野に進出しているLINEだが、その本分はあくまでも「コミュニケーション」。これまでのLINEの戦略がそうであったように、LINE上で友だちとやりとりしてもらう機会さえ増やせれば、マネタイズは後からついてくると考えているのだろう。

事実、枡田氏によれば「現時点でLINE KIDS 動画では、マネタイズとして広告を入れることは考えていない」という。また、有料プランを用意してはいるものの、「まずは使っていただくことが大事」とも述べている。

LINE KIDS 動画の実際の画面

国内5,000万と言われるスマホユーザーのほとんどを刈り取り、ゲーム、電話、モールと、その領域を広げてきたLINE。インフラ化へ向けての次の一手に注目が集まる。

(記事提供: AndroWire編集部)