Apple元CEOのSteve Jobs氏が亡くなる直前にスタッフに残したメッセージを紹介した本が話題になっている。その中で同氏はAppleのTVビジネス参入の可能性について質問され、「TV事業は最悪のビジネスだ」と即答したという。リビングルームへの進出自体には興味あるものの、TV事業そのものはiPhoneに比べても利益率が低く、買い換えサイクルも非常に長いと構造上の問題があると認識していたようだ。

Apple TVという"TV"を関した周辺機器はあるが……

同件はBusiness Insiderなどが報じている。Wall Street Journalの元Apple担当記者でYukari Iwatani Kane氏が出版した「Haunted Empire: Apple After Steve Jobs」という書籍を事前に入手した同誌が、そのハイライトの一部を紹介した形だ(書籍は3月18日より販売開始)。同書籍は(勇み足だった部分も含め)全盛期のAppleの最新情報の数々を提供してきた同氏が、Jobs氏が去った後のAppleを取材してまとめた語録やエピソードを連ねたものとなっている。

それによれば、Jobs氏は毎年ある時期になると「Top 100」と呼ばれる同社幹部や管理職など100人をリゾート地へと集め、他の社員にさえ秘密という条件で新製品のお披露目や大プレゼンテーション大会を行い、さらに同氏自身がTop 100との直接ミーティングで意見交換を行っていたという。

そしてJobs氏がCEO職を辞することになった2011年8月の数カ月前、TVビジネス参入に関して質問されて同氏が答えたのが前述のコメントというわけだ。同氏自身はCEO職を辞した翌々月の10月に亡くなっており、実質的にこれが最後のメッセージの一部となったとみられる。