海外の学生と日本の学生との違い
--日本の採用の仕方、特に新卒の一括採用についてはどうでしょうか
期間を定めるのはいいと思うんです。正式にエントリーしたり説明会を開いたりという機会がないだけであって、それまでは自由に動いていいわけですから。先輩の話をききにいくとか、インターンシップに参加するとか、正式なエントリーができないおかげで、じっくりと企業研究ができると思うんですね。いざタイミングをむかえるまでに最善をつくして臨むというかたちを作ればいいだけだと思います。
--準備をできるかできないかで、学生さんの未来も変わっていきますね
早期のインターンシップ参加もありますし、オープンに閲覧、コンタクトできるサービスが広くありますので、企業によって加工された情報だけでなく、生の情報ソースに接することができます。逆に言えば、ミスマッチを防ぐ責任は、学生の方にも出てくると思います。
例えば海外の学生は早いうちから履歴書を作成して、自分に何ができるのか、何が必要なのか、自己分析を早期からやって、常に自分の強みを棚卸ししていいます。日本についても、もっと早くからやった方が良いと思います。海外の学生の方が、就職時からプロフェッショナル意識が高いという意見は多くの方から伺いますね。「はやく給料に見合う働きがしたい」というスタンスは日本の学生にはあまりないでしょう。
社員ひとりひとりが広報となる時代に
--大学に特化したサービスも行われていると聞きました
2012年の8月にグローバル200校くらいから成り立つ「カレッジページ」がたちあがりました。今まではキャリアセンターに就職先を書いて、それが更新されないままになることも多かったと思いますが、LinkedInだったら個人個人でアップデートできます。
また、学生が将来のキャリアを考える機会になります。革新的な学生は、データベースを利用してOBOG訪問をするかもしれないですね。中高生向けにむけて大学のブランディングも行っています。日本からだと東大をふくめた13校が参画してくれています。
--今後の人材採用の場に起こりそうな変化はありますか?
学生が、社会人に直接コンタクトをとる手段としてOBOG名簿だけだったのが過去だとすると、今後は本当に行きたい会社で働いている人に、学校も関係なくコンタクトがとれます。企業はそれを煩雑ととらえるのか、チャンスととらえて情報提供していくかによって、ブランディングが変わっていくだろうと思います。個々人が社外の人と接する場が増えてきますので、企業ブランディングが、広報だけでなく社員ひとりひとりを活用して作っていくのかが、大事になってくると思います。
--そうなると、社内のブランディングの浸透が大切になってきますね
ビジネスの最新情報や会社の主義を個人が語れないといけなくなりますね。言葉は悪いですが、どこからぼろがでるかわからない。
また学生側を見ると、いかに早いタイミングで自分の考えをまとめることができるのかが重要です。ぼやっとした状態でコンタクトをとるのは失礼にもあたるし、低い評価が残ってしまうこともあります。早いタイミングで自分を表現するスキルを持つことが必要でしょう。
自分の強みをたな卸しするためのプラットフォームに
--今後、どのような展開を考えていますか?
日本の社会の閉塞感というか…仕事の進め方に対して「このままでいいのかな」というのは、みんな議論していますよね。何となく一つの会社に属していたのに業績に問題が出て、40代でこれからどうしようという悩みを聞くこともあります。
これからのキャリアのあり方に注目が集まる中で、自分がどういう強みを持っているか把握することが大事だと思います。定期的に棚卸ししていくためにも、プラットフォームを活用しながら、自分を見つめ直してほしいです。ビジネスをスピードアップしたり、社外と情報交換しながら他社よりもいいものを作ったり、自分の価値を意識したアクションができるような日本になれば、より明るくなっていくのではないでしょうか。後押しできるサービスとして、LinkedInを発信していければと思います。
--ありがとうございました。