筆者の自宅で実際に動かしてみたところ、まずは清掃時間が短く済むようになったと感じた。ルンバは、内蔵するセンサーと「高速応答プロセスiAdapt」と呼ばれる人工知能で、部屋の汚れ状況などを判断しながら自身でプログラムを組んで最適な掃除を行う。これに加えて今回のモデルでは、吸引部の清掃性能がアップしたことが清掃スピードの向上に寄与したのではないかと思っている。

また、新製品を初めて稼動した時に気が付いたのが、稼動音の違い。特にモーター音が従来よりも高音になっている。地雷除去の技術から派生したルンバは産業用ロボット的で、ほかのロボット掃除機と比べると重低音で、「キュイーン」というバキューム音が響く一般の掃除機らしい音とは少し違うと感じていた。だが、本モデルでは少し掃除機らしい音になっている。

今回、ローラーの部品や配置・設計が変更されたのに伴い、モーターも変更されている。従来よりも小型ながらもパワーのある「ハイパワーモーターユニット」が採用されている。こうしたことも稼動音の違いに影響しているのであろう。これまでのルンバはブラシ部分の歯車が当たるガチャガチャした音や、衝突音が少し気になっていたが、それらも和らいでいるという印象だ。

さらに、既存機種からのユーザーの1人として筆者が待ち望んでいた改良点が、ホームベース(充電台)の省スペース化で、この改良が今回のモデルで行われた。これまでの機種では、充電台とACアダプターがそれぞれ別々にあり、非稼働時の設置時において不満を感じていたが、今回、これらが一体化。現在市場で販売されているロボット掃除機としては、充電台の小型化で一歩リードした。日本の住宅事情では収納スペースに問題を抱える世帯も多いので、これは優位な改良点だろう。

【左】新しくなったホームベース。場所を取らないコンパクトサイズになった 【右】従来機種のホームベース。単体ではコンパクトだが、ACアダプターを外側に別に接続する必要があった

そのほか、ダストボックスも従来の1.6倍に容量がアップ。容器のフタや排気フィルターといった構造も手入れがしやすい構造に変更になっている。壁際や隅のゴミを掻き出す回転ブラシ(エッジクリーニングブラシ)は、本体に装着するネジ部分を変更。取り外しがコインでもできるようになっており、ドライバーなしでも気軽にブラシ交換が可能になった。エッジクリーニングブラシも、髪の毛が絡みやすい部品で、これまでは手入れの際にいちいちドライバーで外す必要があり、面倒だったので、ブラシ交換の際だけでなく、助かる仕様変更だ。

【左】容量が1.6倍になったダストボックス。従来の横にスライドして開く仕組みのフタの部分が、上下に開閉して大きく開くようになりゴミが捨てやすくなっている。排気フィルターの着脱もしやすくなり、メンテナンス性が向上 【右】コインで回せるようになったエッジクリーニングブラシのネジ。工具要らずで、手入れもお手軽

手入れをしてみて気付いたのだが、ルンバは分解や取り外しが可能な箇所にはすべて黄色に彩色がしてあり、目印になっている。ローラーを取り外してみると、再度取り付ける際に向きがわかるように、それを示したイラストがさりげなく印刷されており、地味に気が利いている

筆者宅で使用している4年前に購入した旧型のルンバのバッテリーの寿命がそろそろ来ている。コスパに優れた「600」シリーズに買い替えようと思っていたが、これだけ仕様が変わってしまうと、さすがに利便性も清掃能力にも差を感じる。普及機にあたる「600」シリーズでも十分ユーザーを満足させる性能だが、さらに大いなる進化を遂げた新機種。さらに上を目指して開発された最新機種なら、そのぶん不満が少ないのは当然だ。新たに「ルンバ」を買うのであれば、ぜひ検討対象に入れたいモデルだ。