ロボット掃除機の代名詞とも言える「ルンバ」の新製品「ルンバ800」シリーズが発売された。これまでのフラッグシップ機「700」シリーズ以来、3年ぶりに大幅なモデルチェンジが行われた新製品はどのように進化したのであろうか。さっそく試用してみた。

【左】「ルンバ880」のサイズは直径353mm、高さ92mm。従来の最上位機種のデザインを踏襲し、LEDディスプレーを採用しているが、ボタンはメタルコーティングされた高級感ある仕様に。カラーはブラックのみ。付属品が数点異なる「ルンバ870」のカラーはグレー 【右】本体と付属品一式。ルンバ870との違いは、交換用のエッジクリーニングブラシが2点同梱されているほか、赤外線で見えない壁を作り、ルンバの侵入を防ぐ「バーチャルウォール」機能用の機器が複数の部屋をナビゲートするより高機能な「お部屋ナビ」と呼ばれる機器になっている。付属品用の電池も同梱されているのがうれしい

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消費者目線で一番目立った新製品の改良ポイントは、吸引部にあるブラシの形状と構造だ。「AeroForce(エアロフォース)エクストラクター」と名付けられた新部品は、厳密にいえばブラシではなくゴム素材のローラーだ。従来機種でもゴム素材のローラーが用いられ、毛足のついたブラシと連動してゴミの吸引を行っていたが、今回は2本組のゴムローラーが歯車のように連動して、ゴミを掻き込む仕組みになっている。指で片側のローラーを回転させてみるとわかるが、2本のローラーはそれぞれ反対向きに回転し、双方が内側に回転すればゴミを吸込み、反対に回転ることで、コードなどを巻き込んだ際に吐き出す仕組みだ。

ルンバ630(左)とルンバ880(右)の本体裏面の比較。ブラシがローラーに変更になっているわかりやすい変更点のほかに、各部品の配置も微妙に変わっているのがわかる

「AeroForce(エアロフォース)エクストラクター」。それぞれのブラシが内側に回転して強力に吸い込む。指を突っ込んでみると、弾力性のあるゴム素材が吸い付くように強力に密着し、吸い込み力の強さがなんとなく実感できる

メーカーによれば、弾力性のあるゴムが床を叩きながらゴミを浮かせて掻き上げ、効率的に回収できるという。ユーザーとしては従来機に比べて、この構造の違いだけでどれだけ効率化が図られているかは正直わかりづらいところだが、それ以上にメリットと感じるのは手入れのしやすさを挙げたい。というのも、従来の刷毛の原理のブラシの場合、絡まった髪の毛を取り除くのがひと手間だった。

しかし、新しい部品なら髪の毛が絡みにくく、絡まったとしても掃除がしやすい。ローラー自体にも小さな窪みがいくつもあるが、段差はわずかなので髪の毛はもちろんゴミを挟みにくい。それから従来は絡まっていた髪の毛や小さなゴミがその分ダストボックスに吸い込まれていき、捕集性も高まっていると感じる。これはダストボックスに溜まったゴミを確認して痛感した。

1日1回の使用を1週間続けて、一度も手入れをしていない掃除後のローラーをチェック。ローラーの両端の軸に髪の毛が絡まっているが、スムーズに取り除ける。ブラシに絡まっていた髪の毛を取り除く労力に比べれば格段にメンテナンスの手間が省ける

また、ローラーで集めたゴミを吸い込む吸引部の設計も変更になっている。「真空エアロフロー構造」と名付けられた新しい構造では、床面とローラーの間、および2本のローラー同士を近づけ、隙間を狭くすることで空気の流れる経路を密閉して真空状態を作り出し、集めたゴミの吸引性を高めているとのことだ。弾力性のあるゴムをローラーの素材に用いたこともこの効果を高めるのにひと役買っており、ちょうどホースの管を指先で押して口をすぼめたり、広げたりするのと同じ原理でゴミとの密着性を高めて捕集力をアップしているのだ。