KDDIは2月28日、12月に公開した「au未来研究所」のアニメーション映画第2弾を公開した。このアニメは、実際に存在する「KDDI研究所」を舞台にフィクション化したもの。また、そのKDDI研究所を紹介する「KDDI研究所特別見学ツアー」を、「au未来研究所」の登録者を対象として2月に開催した。
ツアーは東京都内から出発。研究所に到着するまでの1時間半、バス内では「au未来研究所」に関する小ネタ紹介やクイズタイムが設けられていた。
お弁当の裏にau未来研究所アニメの登場人物に関するTips。ちなみに、掲載されていない裏話も紹介されており、城戸大輔の由来は「KDDI大好き」、水絵ゆうの由来は「ミスau」だそうだ |
クイズも用意されていた |
到着後、KDDI研究所で所長を務める中島 康之氏が出迎えの挨拶。
「KDDI研究所がある埼玉県ふじみ野市の土地は短波の受信所が開設されてから50年の歴史を持つ。また、KDDI研究所の前身であるKDD研究所が移転したのは1987年で、こちらも15年以上の歴史がある。KDDI研究所は現在、移動通信サービスであるauのスマートフォンを中心とした開発が多いものの、無線基礎技術やCATV、光次世代技術といった多種多様な研究を行なっているので、是非体感していってほしい」(中島氏)
KDDI研究所は埼玉県ふじみ野市にあるが、研究所が移設してきたのは1987年。それまでは短波を利用した通信の受信所となっており、国際電話の橋渡し役として利用されていたことから、通信に関する歴史は実に50年に及ぶ。研究所自体の歴史も国際電信電話(KDD)時代の研究部として1953年に発足しており、設立61年となる。
現地に到着後、KDDI 代表取締役所長の中島康之氏が冒頭に「研究所は最近、auスマートフォンを中心とした研究がメインになっているが、ほかにも基礎研究と呼ばれる無線の技術や光通信の次世代技術開発、CATVに活用する映像サービスなどの様々な新しい研究を行なっている。楽しく体験していただければ」と見学者に挨拶を行った。
案内された研究は「8K映像伝送技術」「LTE MIMOアンテナ技術」「世界最大容量の長距離光ファイバ伝送技術」「テレプレゼンスによるバーチャル空間共有」の4点。プレゼンターはタレントの遠近 由美子さんが務めた。
8K映像「スーパーハイビジョン」は現行フルHDの16倍の解像度
初めの8K映像伝送技術では、超高精細表示の8K映像を伝送する技術を2020年の東京オリンピックまでに確立する研究が説明された。
「8K」とは1000mを1kmと呼ぶように、水平画素数が1000×8の8K(正確には7680)を実現する映像のこと。この1年ほど、家庭用テレビで「4K」というキーワードと共に、3840×2160の解像度が広がりをみせつつあるが、8Kはその2倍×2倍、4倍の解像度を実現している。
実は、2012年のロンドンオリンピックで、すでに8Kのパブリックビューイングは提供されていた。ただ、家庭向けサービスの展開は難しく、現在は放送の実証実験が進んでいる段階。2020年の東京オリンピックを目標に4Kと8Kの本放送を行ないたい意向だ。
伝送技術という側面では、8K映像では画素数が16倍になるため、その分のデータ容量、パケット数も増大してしまう。そこで、映像圧縮技術を用いて容量を圧縮するのだが、圧縮方式の技術開発をKDDI研究所で行なっている。圧縮技術は広く利用されるために規格を標準化する必要があり、現在はH.265/HEVCの圧縮方式の議論を行なっている段階だという。2014年には業務用方式、2015年には階層符号化方式の標準化を予定している。