――ブルース・リーやジャッキー・チェンのファンでもある中川さんは、幼いころからヌンチャクを振り回して練習に励んでいたとうかがいました。その成果は、この映画にあらわれていますか?

そうなんです。ヌイグルマーのアクションだけではなく、ダメ子も自分自身でヌンチャクをふるい、ゾンビたちを倒していくシーンがあるんですよ。撮影に入る前から、ダメ子とヌイグルマーのイメージをシンクロさせるために、このアクションをカッコよく決めなきゃと思っていました。

――劇中でダメ子が振り回しているのは、中川さんが子供のころに手製でこしらえた世界に一点もののヌンチャクなんですね。

中学生のときに自分で作ったものなんです。ですから振り慣れているけれど、ちゃんと映画の中で見栄えのするアクションにするため、今も平成『仮面ライダー』シリーズで活躍されているJAEの宮崎剛アクション監督に指導していただきました。私が倒していくゾンビのみなさんには、実は他の変身ヒーローものでヒーローや怪人を演じている方たちもたくさんいらっしゃって、私にとってはとても贅沢な体験でした。

――立ち回りをするにあたって、ここはがんばったぞ! というようなカットがあれば教えてください。

一周回ってハイキックでゾンビをなぎ倒すカットですね。このロリータ衣装は重たいので、キックするにもかなり高く脚を上げないと画面に映らないんです。ここはかなりこだわってやりました。

――ダメ子はドジではあるけれども、常に真面目で前向き、努力をおこたらない女の子ですね。でも、そこに至るまでにはかなりの葛藤があったようで……、辛い孤独や世間からの無理解を克服した女子の強さを見た思いがしました。

おっしゃるとおり、たくさんあるんですよ、ダメ子と私が似ているところ。自分の好きなことをつらぬくと、周りの人からポカンとされて、世間から浮いちゃったりすることなんかもありますからね……。それでも好きなことに対しては周囲の目が気にならず、ハイテンションになったりするところなんて、まるで一緒ですね。

――変身ヒーローということで、ヒーロー番組の決めポーズなどは練習しましたか。

したというより、身に沁みついています。この映画で私とダメ子が運命的なくらいシンクロしていると感じた点は、ダメ子が一人でテレビを観ながらヒーローの決めポーズを練習する場面なんです。これって、私が中学時代にやっていたこととまったく同じなんですよ。誰にも言ってないし、母にも見せなかった部分だったんです。だから、井口監督がそういうシーンを描いてくださったのには"運命"を感じましたね。

――中川さんはヒーローにのみ生きる希望を見つけていた時期があり、そのことを井口監督が感覚でキャッチしていたということなんでしょうか。

生きるのが辛くて、ヒーローのポーズをまねているときだけが幸せだったころがあったんですけれど、そういう体験がこの『ヌイグルマーZ』につながった、これは大きな意味があったんだなあと。過去の体験はぜんぶこの撮影のためにあったんだ、と思ったシーンでした。……続きを読む