――Doodleというと画像が多いですが、近年は先ほど言及されたパックマンなどのようにインタラクティブコンテンツも増えていますね。こういったコンテンツの場合、制作プロセスはイラストを用いたDoodleとは異なるのでしょうか?

三浦:Doodleチームには絵を描くデザイナーのほかに、描かれた絵をどのように動かすか考えるエンジニアも在籍しています。そのため、チーム内だけで開発することもありますし、リソースが不足している場合、先ほど言及した「20%プロジェクト」の一環として、有志を募集することもあります。

――米国のDoodleチームに日本の偉人の情報を伝える際、難しさを感じた案件はありますか?

小津安二郎監督のDoodle

福江:米国のDoodleチームのほぼ全員が日本以外の国の人で、カルチャーの違いは避けられない部分なので、毎回「なぜこのテーマが日本人にとって特別か」ということを、言葉や写真、絵をつかって、なるべく分かりやすく説明するようにしています。とはいえ、Doodleチームの面々はとても情熱的で、こちらでマニアックな人物を推したとしても、興味を持って自主的に勉強をしてくれますし、彼らのクリエイティビティのためか、まったく的外れなものが上がってくることはほぼないので、日本の文化に沿った調整を一緒に行っていくようなイメージです。

例えば、12月に掲載した小津安二郎監督のDoodleは、Doodlerの方に何本か映画を見て貰い、小津監督の撮影の仕方の特徴などを話し合って、それを踏まえて描いてもらいました。小津監督作品の特徴のひとつで、目線(カメラ)の位置が低いということも、Doodleでも見せたいという話をしたりとか、『東京物語』のシーンを題材にしようとか、小津監督本人を登場させた方がよいかどうかについて議論をしたりと、意見を交換しながら進めていきました。

小津安二郎監督のDoodleが出来上がるまでのドラフト。普段公開されることはまずない貴重な資料だ

――最後に、Doodleコンテスト「Doodle 4 Google」についてお聞きします。日本では小学生~高校生を対象に実施されていますが、大人の中にもDoodleをデザインしてみたいと思う人は多いかと思います。応募資格を学生に限定している理由は?

三浦:日本でも当初は小学校、中学校までが対象となっていまして、高校生も含めたのは2年目からですね。全世界的にも小・中・高にあたる学生を対象にしています。他国では一部大人も応募できる機会を持ったこともあるようですが、大人の方を対象としたコンテストを行った場合、審査基準をどうするか、知恵を絞らないといけないと思います。

――今後、日本国内で大人がDoodleのコンテストに挑戦する機会はありそうですか?

三浦:実は話としてはよく上がってきていますし、大人の方からもアイデアを募る機会があってもいいと思っているので、「Doodle 4 Google」の一環として、"大人部門"を時折開催しても、面白いかもしれませんね。今後また検討していければと思います。

――ありがとうございました。