――ホラー界でも有名な清水崇監督ですが、演出などで印象に残っていることは?

監督自身はホラーのイメージが強いので、抜け出すというか『魔女の宅急便』で乗り越えたいとも思っていらっしゃって。私にとっても、これだけ作品を愛している方々がたくさんいらっしゃる実写映画に出演することは挑戦です。2人ともそれを乗り越えるための新しい挑戦、それが今回の映画だったと思います。

――そこで一体感が生まれているわけですね。清水監督も無謀な挑戦というのは承知の上でオファーを受けたそうですが、小芝さんにもそういう意味でのプレッシャーはありましたか?

それは、すごくあります。清水監督も有名な方ですし、原作にもアニメーション作品にも多くのファンの方々がいる作品です。その主役を私が演じられるのかと(笑)。

――どれだけ経験豊富な方でも、小芝さんと同じ心境になったでしょうね。

もともと有名な作品ですから、賛否両論がありながらも、やっぱり否の声がきっと多いんだと思います。本当に私でよかったのかなと、すごく悩んだんですけど…今おっしゃったように誰がやっても同じ心境になるんだと言い聞かせて挑みました。

――キキの魔法はたった1つ、ほうきで飛ぶことができるのみ。原作の角野栄子さんは、人は誰でも1つは必ず”魔法”があるんだとおっしゃっています。小芝さんにとっての、その1つは何だと思いますか。

お仕事が楽しいのでいつも笑っているんですが、その笑顔は私にとっての魔法なのかなと思います。ムスっとしてるよりも、ニコニコしてて、「何あの子!?」って思われることはあまりないような気がしていて…。嫌な気持ちになる人はいませんし、笑顔は私の中での魔法なのかなと思います。

――いつもそんな感じなんですか?

友達といるときも、こんな感じです。エヘヘ(笑)。家の中では、伸び伸びと過ごしてて、でもスイッチが入ると踊ったりします。

――私が感じる小芝さんの魔法は、「声」なんですよね。言われたことありませんか?

最近はよく褒めていただくようになりました! 最初は眉毛が印象に残るっておっしゃってくださる方が多くて。ケンシロウ眉毛って言われてたんですよ! つながってないし、そこまでじゃないって思ってたんですが(笑)。

――最近では濃い眉毛の方も多いので、時代が追いついてきましたね。

私の眉毛は、太くて長くて濃いという三拍子がそろって眉毛なんです。

――それでは最後にあらためて、作品についてのコメントをお願いします。

先ほどおっしゃっていた、角野栄子さんの「誰でも魔法を持っている」というメッセージ。私はそれがどういう意味なのか分からなかったんですが、劇中でキキが飛べなくなるシーンのセリフが印象的でした。キキの「歌もヘタだし、自転車にも乗れないし、おいしいパンも焼けないし、飛行機も作れない。それは全部魔法に見える」という言葉でピンときたんです。

トンボは飛行機を作れる魔法があって、おソノさんはおいしいパンを作ることができる魔法があって。こうしてインタビューしてくださる方には、いろいろな私の感情や話を引き出してくれる魔法がありますし、カメラを撮る人はいろんな表情を引き出す魔法があって。そういう意味で、この映画を見てみなさんのそれぞれの魔法を見つけたり、見つめ直すきっかけになればいいなと思います。

――本当にいいこと言いますね。

いえいえ~、エヘヘ(笑)。

――そういえば劇中のキキは、自転車にも乗ることができるようになりますね。

もう、すっごく大変だったんですよ、乗れるのに乗れない演技(笑)。あまりやりすぎると、わざとらしくなるので、その中間ぐらいが難しくて。

――絶妙でしたよ。この子、本当に乗れないんだなって思っていました。

ちょっとー(笑)。乗れますよー! 乗れます!

(C)2014「魔女の宅急便」フィルムパートナーズ