新製品の概要
続いて、セイコーエプソン プリンター事業部 BIJ推進プロジェクト部長の和田高一氏が、新製品の概要について説明した。キーワードは、生産性の向上、使い勝手の向上、ファクス機能の拡充。まず生産性の向上に関しては、印刷スピードの向上、印刷品質の向上、耐久性の向上などを実現。ビジネスで求められる機能、性能をトータルで底上げした。
新ヘッドのPrecisionCoreに搭載されているマイクロTFPプリントチップは、エプソンが長年培ったインクジェット技術に、ピエゾ材料分野での革新、高度なMEMS製造技術を盛り込んだもの。薄く小型ながら高性能で、耐久性も担保しているという。和田氏は「今後、PrecisionCoreテクノロジーをインクジェットプリンティングのプラットフォームとして進化させ、商業、産業の分野で活用していきたい」と語った。
使い勝手の向上としては、大型液晶とタッチパネルのほか、ユーザーが交換可能なメンテナンスボックスも採用。「Wi-Fi Direct」にも対応させ、この背景について和田氏は「ビジネスの現場でもスマートフォンやタブレットの導入が進んでいる。スマートデバイスで文書のやりとりを行うシーンも増えている」と説明した。
ファクス機能の拡充については、電話/ファクス自動切替、見てからファクス送信/印刷などの機能を搭載。従来機種のユーザーから要望の高かった機能を拡充することで「ビジネスでも十分お使いいただけるファクスに仕上がった」(和田氏)とした。
販売戦略
最後に、エプソン販売 BP MD部 部長の鈴村文徳氏が販売戦略について語った。A3モデルのPX-M5041 / M5040F / S5040は3月20日、A4モデルのPX-M840F / S840は3月6日、A4モデルのPX-M741F / M740F / S740は4月10日の発売を予定している。
鈴村氏は、新製品が想定するターゲット業種についても説明した。PX-M5041F / M5040F / S5040では、官公庁・自治体(一般OA用途、各種帳票印刷)、文教(教材印刷)、建築・土木(作業指示、現場写真、CAD図面)、不動産(賃貸物件の送受信、間取り図)、一般オフィス・SOHO(一般OA用途、ファクス送受信)といった業種での利用を想定している。
「例えば、建設業で行われるほぼすべての業務を、1台のプリンタ/複合機でまかなえる。A3の図面でファクスを送受信する際も便利に使っていただける。解像度が上がったので写真も鮮明になった。顔料インクを使っているので、印刷物を屋外の工事現場で使用するときに汚れても、印刷が滲まない」(鈴村氏)とアピールした。店頭、Web、ビジネスという全チャネルから製品を提案していくという。
PX-M840F / S840では、官公庁・自治体、文教、調剤(受付・請求業務)、病院(受付・請求業務、診察室、検査室)、一般オフィス・SOHOでの利用を考えている。「例えば病院では、患者様を待たせないためにプリントの速さが求められる。同じものを大量に印刷するレーザープリンタではなく、1枚、2枚の印刷が速いインクジェットプリンタが最適になる。PX-S840なら、忙しい看護師さんでも簡単にインク交換できる」と鈴村氏。Sier、ビジネス系販売店から、ラベルプリンタ、スキャナとセットで提案していくという。
PX-M741F / M740F / S740では、流通/小売り(日報、売上集計、POP、身分証コピー)、飲食(注文書、メニュー、POP)、医療(受付・請求業務、診察室、検査室)、一般オフィス・SOHOでの利用を考えている。コンパクトな製品のため、カウンターでの利用なども多くなると見ている。鈴村氏は「プリントコストを削減でき、Epson Connectを利用すればセキュアで簡単にプリントできる。流通/小売りなどの業種に向いている」と話した。Sier、ビジネス系販売店から、店頭、Webまで幅広いチャネルから提案していくという。
新製品は「さあ、ビジネスが求めるプリンターを。」というキャッチのもと、プリントコストが2分の1になる特長などを訴求していく方針だ。新聞広告では、PrecisionCoreによりインクジェットプリンタでもレーザープリンタに匹敵する生産性と画質を備えたこともアピールしていくという。
ビジネスインクジェットプリンタ分野でのシェア目標は50%に設定。現在は48%ほどを推移しているとのこと。ビジネスA3複合機ではシェア65%を目指す。「ビジネスA3複合機では、ライバル会社にダブルスコアの差をつけたい。第4四半期に入り、直近ではシェア63%ほどを推移している。新製品を投入すれば、65%も十分到達可能な数字だと思っている」と話した。