海外旅行にデジカメを持って行く人は多いはず。私自身も年に数回ほど日本を離れ、旅のスナップを楽しんでいます。主な被写体は、現地で出会った人たちです。初対面の人を撮るのは簡単ではありませんが、ドキドキするような楽しい体験でもあります。今回は、そんな私が心がけている、旅先で現地の人を撮るためのコツを紹介しましょう。
「一歩上ゆくデジカメ活用術」バックナンバー
第1回 イルミネーションを利用してボケのある夜景写真を撮る
第2回 冬の逆光を生かして印象的なスナップショットを撮る
第3回 水族館の生き物たちを幻想的なイメージで撮る
第4回 夜空に浮かび上がる満天の星を撮る
第5回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・表情編
第6回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・背景編
第6回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・背景編
第7回 単焦点レンズで楽しむポートレート撮影・焦点距離編
第8回 紅葉を美しく撮るための5つのコツ
- ヒント1「相手にできるだけ近寄って撮る」
恋愛や人間関係では「距離感」という言葉が使われますが、人物撮影の場合でも、距離感は写真の印象を決める大きな要素になります。簡単に言うと、近寄って撮るか、離れて撮るかという問題です。近距離から撮られた写真なら、そこに写っている人は家族や友人など親しい人だと想像でき、遠距離から撮られた写真なら、見ず知らずの人を写したものだと感じさせます。
旅先で初めて出会った人を撮る際も、この法則があてはまります。相手に接近して撮れば、写真に親密さやリアリティ、臨場感を与えることができます。逆に離れた位置からでは、覗き見たようなイメージになりがちです。
風景写真であれば、人にあまり近寄らず、人を風景の一部として溶け込ませるのもいいでしょう。しかし、人そのものを撮ることが狙いなら、中途半端な距離感は禁物。腰が引けてオドオドした雰囲気が写真に表れてしまいます。人物を撮るなら、思い切って相手に近寄ること。近寄って撮った写真には主観的な印象が生まれ、見る人の興味を引き付けやすい写真になります。
絞り優先AE(F4、1/800秒)、露出補正:±0、感度:ISO200、WB:オート、焦点距離:28mm相当(写真をクリックすると拡大します) |
- ヒント2「許可をもらう前がシャッターチャンス」
見知らぬ人をスナップする場合、相手に撮影許可をもらう必要がありますが、話しかけてから撮ると、どうしてもカメラを意識した写真になってしまいます。カメラ目線の写真は、決して悪くはありません。見る人が相手と向かい合っているようなイメージで、写真に力強さやインパクトを与えられます。しかし記念写真風でもあり、スナップとしては少々味気ないかもしれません。
より自然な雰囲気を出したいなら、相手がカメラを見ていない瞬間を狙うべきです。目線を外した状態では、日常の中のワンシーンを切り取ったようなイメージになり、見る人の想像力を刺激する写真になります。そのためには、1枚目のシャッターは話しかけずに撮ること。私の場合、撮影許可は撮った後からお願いするようにしています。
プログラムAE(F2.8、1/60秒)、露出補正:±0、感度:ISO400、WB:オート、焦点距離:36mm相当(写真をクリックすると拡大します) |