デベロッパー部門「アドバンストクラス」の狙い

アドバンストは、技術を応用できるスキルを磨く機会を提供するのが狙いで、また現場にできるだけ近い条件にするとし、「仕様変更」が大きなカギとなる。エンジニアの方なら誰もがご存じかと思うが、何かのシステムを作る時、発注側は得てして完成が近づいてきて使い勝手が見えてきたりすると、「やっぱりここはこうして」などと「理不尽な」仕様変更を求めてくるのは決して少なくない。ということで、その「理不尽」をキーワードにするという。

「理不尽」といわれても、なかなか想像が難しいところではある。まだ具体的には決まっていないそうだが、イメージとしては、2013年までのデベロッパー部門のように、かっちりと決まったコースレイアウトや寸法も置く場所も細かく決められている難所など、データさえあれば、ライントレースしなくても走れていたのに対し(実際そうしているチームもある)、事前の発表はおおよそで、現場に来て初めてわかる、という形を考えているという。

つまり、大会当日に会場入りしてみないと、難所の位置はわからないし、何かそのほかの条件などもわからないというわけである。要は、あらかじめ幅を持たせて条件が変わっても対応できるような設計にしておくか、試走の段階でデータ取りしてそれを素早く反映させるか、といったことが求められるわけだ。アドバンストは難所の難易度も高くなるという(その代わりプライマリーは簡単になる)。

ちなみに筆者も意地悪く理不尽なことを考えてみた。例えば、ETロボコンの参加者全員からブーイングを受ける覚悟でいうと(笑)、CS大会のアドバンストでは天井の照明の白熱灯の照度を変更する、というのはどうか。2012年のCS大会では、白熱灯が点灯していたため、完走率が2011年大会より大幅に低下してしまった、参加側にはかなり忌み嫌われている白熱灯だが、これこそまさに「理不尽」だろう。しかし、そんな中でもパーフェクトを決めているチームもあるわけで、どんな条件の照明でもきっちりラインをトレースできる、もしくはそのほかの手段で完走できるという作り方をしてこそ、アドバンストではないだろうかと思う。

さらには、観客のビデオカメラなどから出る測距用の赤外線や、スチルカメラのフラッシュを「遠慮なくビシバシ浴びせる」なんてのも「理不尽」極まりないだろう。これまでは走行中の赤外線やフラッシュの使用はすべて禁止とされてきたが、アドバンストの時のみはOKとなったら、筆者も東京地区大会やCS大会では協力させていただく(笑)。とまぁ、参加者にとってはイヤな提案をしてみたが、さすがに1年目からこういった予測不可能な外的要因はないとしても、照明に左右されないセンシング技術というのもアドバンストらしい目標だと思うので、数年後にはいかがなものだろうか。