シャープの切り札はフルHDながら4K相当表示の「AQUOSクアトロン プロ」?

4K相当の高精細表示が可能な「AQUOSクアトロン プロ」で"フルHD超4K未満"市場を狙う

構造改革に挑んでいるシャープは、「液晶一本足経営からの脱却」が鍵としているが、やはりテレビ事業の回復は重要な柱のひとつだ。

2013年度上期の液晶テレビ事業は、売上高が同年同期比4.5%増の1,940億円となったものの、販売台数は前年同期比5.3%減の369万台とマイナス成長。今後は、約8割の稼働率を維持し、60~70型が効率的に取れる堺向上の強みを生かし、シャープが得意とする60型以上の大画面モデルに力を注ぎ、新興国などの重点地域のローカルフィットモデルを強化する考えだ。

そうしたなかで切り札としているのは「AQUOSクアトロン プロ」だ。2013年11月に発売されたAQUOSクアトロンプロは、独自の信号処理と輪郭強調処理を施すことで、フルHD解像度でありながら、4K2Kに相当する高精細表示することができるシャープ独自の液晶パネル。4Kのトレンドを先取りする戦略製品に位置づけている。シャープは、全出荷台数の過半数をAQUOSクアトロン プロで占める考えだ。

12四半期ぶりの黒字化も年間見通しは下方修正が続くソニー

2014 International CESの基調講演に登壇したソニーの平井一夫社長

ソニーは、2013年度第1四半期にテレビ事業が、12四半期ぶりの黒字化。だが、第2四半期には再び赤字に転落するなど、まだ回復ぶりを手放しで評価できる段階ではない。当初見通しの年間は1,600万台だったが、これを8月には1,500万台へと下方修正、さらに10月には1,400万台へと再度下方修正するといった状況だ。

インチサイズの小さな低価格モデルを絞り込み、ラインアップ数を約半減するという大胆な施策を実施。これにあわせて、4Kなどの高付加価値製品へとシフト。2011年11月に発表したテレビ事業の収益改善プランの成果と為替の好影響もプラス要素となっている。

2014 International CESでも、4K対応の新製品として「BRAVIA X950B/X900B/X850Bシリーズ」などを発表。HDMI 2.0やHDCP 2.2などをサポート。上位モデルの「XBR X950B」は新開発の直下型LEDの採用と、「X-tended Dynamic Range PRO」技術によりコントラストを向上するなど、引き続き付加価値訴求を強化する姿勢をみせている。

ソニーのテレビ事業の本格回復までは、もう一歩といったところだ。


今週から来週にかけて、電機各社の第3四半期決算が発表されることになる。果たして、テレビ事業の回復の筋道は描けているのか。各社の発表にも注目が集まる。