電機各社の業績悪化の元凶となったテレビ事業に、少しずつ回復の兆しが見えているようだ。調査会社BCNの調べによると、薄型テレビの販売金額は2013年8月からプラスに転じており、年末商戦真っ只中の2013年12月の販売金額は、前年同月比4.3%増となっている。

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2013年12月をもってプラズマパネルの生産を終了したパナソニック

パナソニックの津賀一宏社長

だが、販売台数は2013年12月実績で前年同月比16%減となっており、まだプラスには転じていない。その点では、まだ本格的な回復とは言い難いが、平均単価の上昇、大画面サイズの構成が高まるなどの動きがみられており、状況は少しずつ変化している。また、4K対応テレビも、放送開始前から人気を博すなど、業界予想を上回る動きを見せていることも、市場の回復に向けた気配を感じさせるものとなっている。

市場にはやや回復の兆しが出てきたものの、テレビメーカー各社のテレビ事業の構造改革は、まだ道半ばというのも正直なところだ。

プラズマ事業から撤退したパナソニック - 次なる付加価値提案の柱は?

2013年10月にプラズマテレビ事業からの撤退を発表したパナソニックは、液晶テレビに軸足を移し、その市場において、パナソニックならではの付加価値提案に向けた動きを加速している。スマートビエラはその最たる例だといえよう。

パナソニックの津賀一宏社長は、「テレビはもはや白物家電」と公言してはばからないが、今後は組織そのものの家電事業との統合を視野に入れた取り組みを開始することになりそうだ。

4K化で先行する東芝 - テレビ事業の2013年度下期黒字化を掲げる

すでに2013年10月の組織再編で、テレビをはじめとするデジタルプロダクツ事業と白物家電事業を統合し、ライフスタイル事業とした東芝は、テレビ事業の下期黒字化を必達目標に掲げる。

東芝はデジタルプロダクツ製品の設計開発機能を青梅事業所へ集約している

テレビ事業は過去2年連続で500億円規模の赤字を計上。2013年度上期は、テレビ事業に赤字が残ったものの、第3四半期(2013年10~12月)はようやく黒字に転換。下期黒字化に向けて、大きな一歩を踏み出している。すでにテレビ製造拠点の集約に乗り出しており、テレビの生産委託比率も従来の40%台から、70%台に引き上げる考えであるほか、プラットフォーム数を削減。ラインアップの機種数も大幅に減らしている。

4K対応テレビでは先行し、1インチ1万円による普及戦略にも余念がない。また、米ラスベガスで開催された「2014 Internatinal CES」においても4Kテレビの領域で、高精細化、5K化、湾曲ディスプレイという3つの提案を行い、会場からは高い関心を集めていた。

今後、4K放送が国内でも開始されるなかで、東芝がどんな仕掛けをかるのかも気になるところだ。