Googleにとってのメリット
巨額資金を投じて買収した会社を、わずか1年半で手放すGoogle。しかも買収差額は100億ドルクラスと非常に大きい。だが「買ってみたけど、思ったようにいかないから売る」というわけではないようで、Google側にもそれ相応の理由とメリットがあるから売却するのだ。その回答は、やはりWSJの一問一答記事がわかりやすい。
理由として挙げているのが、スマートフォン市場は非常に競争が激しく、Googleとしても本気で端末ビジネスに取り組んでいるわけではなく、ビジネスとして育てていくにはLenovoのような強力なパートナーのほうが適しているとGoogle CEOのLarry Page氏は説明する。
またMotorola Mobilityには2つの側面があり、1つが端末ビジネス、もう1つが1万7,000以上の関連特許を抱える特許管理団体という点だ。Motorolaはデジタル化した携帯で初の対応製品を出したメーカーであり、業界でも最古参の1社だ。実際にどの程度使える特許があるかは別として、これはAndroid界隈で頻発する特許闘争で有利に働く可能性が高い。LenovoがMotorola Mobilityを買収したとしても、特許のほとんどはGoogle側に残ることになり、実際にLenovoが獲得できたのは先の2つの側面のうち1つめの端末ビジネスのみということになる。Google側に残った特許はLenovo側にライセンスする形で供与されるため、買収額を査定したときに、より端末が多く販売される可能性の高いLenovoへの事業譲渡がGoogleにとっても収益的にプラスになるとの判断なのだろう。
そう考えると、Googleが2年半前にMotorola Mobilityを買収したのは、本気で端末ビジネスに参入してAndroidで協業するパートナー企業と直接対決するのが目的ではなく、特許ポートフォリオをまるごと入手するのが目的だったと考えることができる。とはいえ、事業として抱える以上Motorola部門が赤字を垂れ流すのは見過ごせず、本社移転やリストラ等でコスト削減を行っていたものの、やはりLenovoへの売却できちんと事業を成長させ、ライセンス収入を拡大していくほうがGoogleにとってプラスだと判断したのではないだろうか。おそらくは、Lenovoが売却先としてもベストで、両社にとってWin-Winの取引だといえるかもしれない。
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