ノルウェー沿岸急行船「フッティルーテン」も就航し、ロシアとの国境に位置する「キルケネス」。この街が歩んできた歴史と地理の関係で、キルケネスには他のノルウェーの街とはちょっと違った趣がある。そしてこの街は、日本人が大好きな“ある食材”の宝庫でもあるのだ!
街中でスキーができちゃう!
街を歩いていて、すぐに気付いたことがある。そう、信号がないのだ。最低気温がマイナス42度にもなるという街を歩いていると、すぐそばで地元の方がスキーを楽しんでいたりする。気をつけていてもつるんと滑ってしまうので、街歩きにはスノーブーツのご用意を!
キルケネスを訪れた1月は、太陽が昇らない「極夜(ポーラーナイト)」に当たるため、どの家でも暖色系の明かりが一日中ともされていた。筆者自身、なぜ北欧の照明はあれ程デザイン豊かなのだろうと思っていたのだが、太陽の昇らない季節に気持ちをも明るくともしたいという想いが、あの照明に込められていることを実感した。
ホームシックになったドイツ兵が残したもの
そしてもうひとつ、街の標識にはノルウェー語とともにロシア語が表記されていることもある。歴史をたどると、1826年に現在の国境が定められるまで、この地域にはノルウェーとロシアが共に影響を与えていた。そして第二次世界大戦でノルウェーがナチスに占領されると、旧ソ連との戦線へ物資を供給する総本部となる。そのため、キルケネスはヨーロッパの街の中で、マルタに次いで多く空襲を受けることとなった。
街には、当時の模様を伝える国境博物館のほか、ホームシックになったドイツ兵が故郷への道のりを示したとされる標識(現在あるのは復元されたもの)などもあり、街が歩んできた歴史を知ることができる。また、ロシアから買い物に訪れる人も多いようだ。
日本人からすると街歩きをしているだけでも興味深いのだが、ここまで来たなら是非体験してもらいたいアクティビティが、キルケネスにはある。「キングクラブサファリ」、つまり、とれたて極上タラバガニの食べ放題である!